第24話 冒険者の活動範囲の拡大:未知なる領域への挑戦

そして、私のポシェットの恩恵を最も大きく受けたのは、冒険者たちだった。

「すげぇ!これがあれば、どんなに奥地のダンジョンでも、いくらでも素材を持ち帰れるぜ!」

「ああ、もう重い鎧も武器も、食料も水も、全部ポシェットに入れちまえばいいんだからな!身軽に動ける分、魔物との戦闘も有利になる!」

冒険者たちは、口々にポシェットの利便性を語り、その効果を最大限に利用していた。彼らは、これまで重い荷物に縛られ、活動範囲が限られていた。しかし、ポシェットのおかげで、彼らは無限の荷物を持ち運び、食料や水も腐敗の心配なく携帯できるようになった。

「これがあれば、これまで誰も足を踏み入れたことのない、未知の領域にも挑戦できる!」

「ああ、見たこともない珍しい素材や、危険な魔物の素材も、根こそぎ持ち帰れるぞ!」

彼らは、より深く、より危険なダンジョンへと潜り、これまで誰も到達できなかったような、未知の遺跡や秘境へと足を踏み入れ始めた。ポシェットは、彼らの活動範囲を飛躍的に拡大させ、新たな発見と、莫大な富をもたらした。

その結果、市場にはこれまで流通していなかった珍しい素材や、強力な魔物の素材が大量に供給されるようになった。錬金術師や鍛冶師たちは、それらの素材を使って、さらに高性能な装備や魔道具を開発できるようになった。冒険者たちの発見は、この世界の科学技術と魔術の発展を、新たな段階へと押し上げたのだ。


「奇跡の錬金術師」として:畏敬と羨望の眼差し

私の発明がもたらした変革は、この街だけでなく、瞬く間に近隣の街、そして王国全体へと波及していった。私の名は、「奇跡の錬金術師」として、人々の間で語り継がれるようになった。

「すごいわね、あの如月咲さんて人。たった一人で、この世界をこんなにも変えちまうなんて……」

「ああ、まるで女神様みたいだ。あの人がいなかったら、俺たちの生活は、きっと今も昔と変わらず不便だっただろうな」

街の人々は、私を畏敬の念をもって見つめていた。私のポシェットは、彼らの生活を豊かにし、未来への希望を与えたのだ。彼らは、私を「奇跡を起こす者」、あるいは「神の遣い」のように崇め始めた。

その一方で、錬金術師ギルドは、完全に権威を失っていた。アベルは、私のポシェットの圧倒的な力に、もはや反抗する術を持たなかった。

「くそっ……あの女め……我々のギルドの存在意義を、根底から……!」

アベルは、歯ぎしりをするように悔しがった。彼らは、私の発明の前に、ただ無力に立ち尽くすしかなかったのだ。錬金術師たちの中には、私の技術を学ぼうと、私の宿屋に弟子入りを志願する者も現れたが、私は全て拒否した。彼らの浅はかな知識など、私には不要だったからだ。

私の周囲には、常に畏敬と羨望の眼差しが向けられていた。その視線は、私にとっては心地よいものだった。あの日の屈辱を、こうして彼らの前で晴らすことができたのだから。

しかし、私の心は、まだ満たされていなかった。このポシェットは、私の計画の第一歩に過ぎない。この世界には、まだ解決すべき不便が山積している。そして、あの裏切り者たちへの「本当の復讐」は、これから始まるのだ。

私は、「奇跡の錬金術師」として、世界を変革し続ける。 私の野望は、とどまるところを知らない。

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元・社畜OL、異世界で「袋」を極める。 ~恋愛?それより錬金釜を蹴り上げて!~ すぎやま よういち @sugi7862147

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