心理描写と彩りの余韻を生み出す

静謐な情景と繊細な心情描写に引き込まれました。
白い空間に浮かぶ赤い花弁や、水色に透ける蝶たちの存在がとても象徴的で、美しさと儚さが同居しているように感じます。

「もう一度だけ」という願いに込められた切実さと、花弁が消えることで訪れる終焉の予感が静かに胸を打ちました。
現実とは異なる“白い箱”という空間設定も印象的で、まるで夢と記憶の狭間に迷い込んだかのような読後感があります。

会話のやり取りも巧みで、柔らかく、けれど核心に触れてくる言葉がじわじわと効いてきますね。
花弁の意味、選択の重み、そして“やり直し”の代償、そのすべてが読み手の想像力を刺激します。

静かだけれど強く、余韻を残す話でした。まだまだ魅力的な話が続いていく作品と感じました。