織田信長がアメリカ大統領になった時
@tenbaka1118
第1話 就任演説と“本能寺ドクトリン”発布
2025年6月、ワシントンD.C。
世界中のメディアが固唾を飲んで見守る中、星条旗がはためくホワイトハウス前庭に、場違いな“戦国武将”が立っていた。
黒い羽織に金の家紋、膝まである革のブーツ。そして手には、なぜか一刀の脇差。
「余が、第46.5代アメリカ合衆国大統領、織田信長なり!」
堂々たる宣言に、世界が一瞬静まり返った。
……そして次の瞬間、拍手と歓声、悲鳴とざわめきが入り混じったカオスが爆発した。
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「大統領、さすがにそれは……」
隣に立つスーツ姿の男が、頭を抱えた。
ジャクソン・クルーズ。
ホワイトハウスの首席補佐官で、元陸軍の情報将校。超合理主義者で、現実主義者。
「就任式で脇差って。ていうか、鎧みたいな服って。ルールとか倫理とか、知ってます?」
「ふむ。米国にも“戦場”あり。よって、戦装束にて臨む。」
「いや、ここ“選挙”で来た国なんですけど!」
信長は構わず壇上から手を振りながら、ぼそりとつぶやいた。
「……まずは、この国の病を見ねばなるまい。」
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◆ AI参上、現代の”黒田官兵衛”
「政AI、出でよ!」
信長の号令に応じて、壇上背後のホログラムが起動する。現れたのは、**AI政策分析官“政AI(まさあい)”**の投影だ。
「報告開始。アメリカ国情、現在以下の5点に問題集中。」
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【1. 経済】
・国民の約4人に1人しか「景気が良い」と思っていない
・半数近くが「これからもっと悪くなる」と不安視
【2. 支持率】
・新大統領である貴殿の承認率、41%。かなり低めスタート
【3. 移民】
・約1,800万人が不法滞在者
・意見真っ二つ。「働いてほしい」vs「出ていけ」
【4. 再生エネルギー】
・国民の約3/4が「太陽光とか風力とか、もっと増やせ」と回答
【5. 山火事・災害対策】
・カリフォルニア州を中心に、山火事の備えが全然できていない
・予算も足りず、人も足りず、今夏がヤバい
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ジャクソンがつぶやいた。「うわ……問題だらけだ。」
信長は腕を組み、にやりと笑った。
「ようやく、面白くなってきた。」
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◆ “本能寺ドクトリン”発布
「聴け、政(まつりごと)の掟は戦と同じ。速さこそ力。迷いこそ毒。」
信長は政AIのホログラムを指しながら言い放った。
「よって、三策を発布する!」
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一の策:銭は回してなんぼじゃ
「金がなければ国は死ぬ。しかし民から奪っては国が痩せる。ゆえに、一時だけ税を下げる代わりに、金を貸せ。」
「……え、意味がわからないんですが」
「言い換えよう。企業の税金を少し下げる代わりに、“信長債”を買わせる。いずれ利息をつけて返す。国は体力を保ち、企業も動きやすくなる。両得よ。」
「まさか……クラウドファンディング?」
「信長式・徳政クラファン、である。」
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二の策:移民は戦力なり
「不法移民者には、“休戦の誓い”を与える。三年、国のために働けば、正式に民として迎えよう。」
「えっ、それって“市民権バイト制度”みたいなもんじゃ……」
「違う。**“米休(べいきゅう)制度”**である。」
「いや、ネーミングのクセ強い!」
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三の策:炎には、兵を
「気候と山火事は敵である。ならば、武士で防ぐ。全国に“火消し隊”を組ませよ。」
「武士って言うな、消防士です!」
「名は力。“気候神速令”、本日発布! そして、“消防御免”の特例免許を各州に送る。」
ジャクソンはうなだれた。「支持率上がるか、これ……」
政AIが解析結果を発表した。
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◆ 数値予測(政AIより)
• 経済政策 → 小規模企業の雇用増、景気回復に少し期待(支持率+4%)
• 移民制度 → 好意的な若者・移民系票が流入(支持率+3%、保守層はやや減)
• 気候・火災対策 → 環境重視派に響く(支持率+2%)
「……おおむね好感触です。実行すれば、合計で**支持率+9%**が見込まれます。」
「よし。“本能寺ドクトリン”、ここに始まる。」
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◆ そして、想定外の火
その夜、緊急アラートがホワイトハウスに響く。
「カリフォルニア北部で山火事発生!」
政AIの音声が焦っていた。
「予想より早い拡大です! 消防部隊はまだ訓練中、間に合いません!」
モニターに映るのは、炎に包まれた山と町。
信長は、ただ一言つぶやいた。
「……また“炎”か。」
ジャクソンが息を飲む。
「どういう意味です?」
信長は黙って脇差を抜き、こう言った。
「城が焼けようとも、政は進む。拙者が、行く。」
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次回予告:「カリフォルニア炎上と“第二の本能寺”」
信長、火災現場へ!
彼の前に立ちはだかるのは――炎か、アメリカか。
織田信長がアメリカ大統領になった時 @tenbaka1118
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