【劇用台本】蘇る地獄の龍造

おかぴ

蘇る地獄の龍造

◯組の事務所


ひより「……え、えーと……」


アニキ「おうテツ」


 テツ「ヘイ。なんですねんアニキ」

 

アニキ「テメー、ワシの話聞いとったんか?」


 テツ「ヘイ。アニキに言われた通り、大門寺ちゅーヤツ、連れてきましたぜ」

 

アニキ「何が『連れてきましたぜキリッ』じゃクソがぁあッ!!」


ひより「あ、あのー……」


 テツ「ハッ!? なんぞ間違えましたか!?」


アニキ「間違いどころじゃあらへんぞ!? なに年端もいかん可憐で可愛い女子中学生連れてきとるんじゃワレ!?」


 テツ「せやかてアニキ!? アニキたしかに言いはりましたやん『大門寺を連れてこい』って! せやからワシ、大門寺っちゅー名札つけたこのコ、わざわざナンパして連れてきたのに!?」

 

アニキ「ワシラの世界で『大門寺』ゆーたら『大門寺龍造』98歳のことやろが!? この世界の一体どこにこない綺麗な長い髪の毛サイドテールにして白いセーラー服着た『大門寺龍造』がおんねん!」


ひより「あ、あはははは……」


アニキ「このコ見てみい! チューリップみたいな苦笑いでほっぺた赤くして、どこから見ても龍造なんていかつい名前しとるようには見えんやろが!! どこをどう見たらこのコが98歳(男)じゃ!!」


 テツ「まだわかりませんやんアニキ! アニキかて、その龍造っちゅーヤツの顔見たことないでっしゃろ!? ひょっとしたらこのガキが、オジキが探してはる大門寺龍造その人かもしれませんやん!」

 

ひより「え、えっと……」


アニキ「確かにワシは本人に会うたことは無いし顔も知らへん」


 テツ「でっしゃろ!? せやからまずは名前聞いてみて下さいよ!」

 

アニキ「ほな聞いたるさかい、覚悟しとけよテツ。……すまんなお嬢ちゃん」


ひより「ああ、いえいえ」


アニキ「このバカタレがお嬢ちゃんのこと、『大門寺龍造』や言い張るねん。多分間違うてる思うけど。一応聞かせて」


ひより「はい」


アニキ「お嬢ちゃん、名前、教えてんか?」


ひより「えーっと……タハハ……」


 テツ「大門寺龍造やんな!? カスミソウみたいに可憐な女子中学生の格好しとるけど、本性は98歳の男やろ!?」

 

アニキ「お前、自分で言うとる言葉に違和感は無いんか……?」

 

 テツ「どうや!? 自分、龍造やんな!?」


ひより「えーと……大門寺、ひより……13歳、です……」


 テツ「アガガ……ッ!?」


アニキ「よう言うた。お嬢ちゃん、ええ名前しとるやんけ。可愛らしいな」


ひより「あ、ありがとうございます……」


アニキ「さて……」


 テツ「ビクッ!?」


アニキ「テツぅ……落とし前、どうやってつけるか覚えとるか……?」


 テツ「もぉぉおおおおおッ!!! 自分が龍造って名乗らんかったせいでワシが痛い目見ることになってもうたやんかー!!! 嘘でもエエから今この瞬間だけ龍造って名乗りぃなぁぁああああ!!! 今だけでええから! 今だけ!! 今だけ98歳の男にぃぃいいい!!!」

 

ひより「そんな理不尽な……タハハ……」


アニキ「テツぅ……ワシだけやなく、オジキの命令聞かんかった罪は重いで?」


 テツ「嫌やぁぁあああ!!! あんなんもう嫌や!! やりとうなぃぃいぃいい!!!」

 

ひより「え……むせび泣くほど嫌って、何させられるんだろ……」


 テツ「嫌やぁぁああ!!! 午後4時の商店街で変な顔しながら『“南米の雪男ちん”ですキリッ。好きな飲み物はペプシコーラですよって、ペプシ買うてきてください。コークはあきません』て行き交うカタギの人たちの前でアナウンスするの、もう嫌やぁぁあああ!!!」

 

ひより「なにそれ楽しそう……」


アニキ「よっしゃ覚悟出来たかテツ。行くで『ひなたヶ丘たんぽぽ商店街』へ」


 テツ「いやぁぁあああああッ!?」


ひより「あ、でも待ってください!!」


アニキ「? どないしたんひよりちゃん」


ひより「え、えーと、大門寺龍造って、私のひいおじいちゃんでして」


 テツ「!? ホンマか!? せやったらひよりちゃんに電話してもろて、龍造呼び出してもらえば……」

 

ひより「私が生まれた日に亡くなっちゃったらしいんですけど」


 テツ「ウソやあああぁぁん!?」


ひより「なんでも、ひいおじいちゃんが亡くなった直後に私が生まれたらしくて、『おじいちゃんの生まれ変わりかもね~』なんて家族に言われて、可愛がられました」


 テツ「そんなほのぼのハートフルなエピソード今はいらへんねんってー!! もぉぉおお無理やぁぁああん!!! 龍造さん最初からおらへんやん最初から無理ゲーやったんやんアニキぃぃいいいいい!!!」

 

アニキ「確かに亡くなっとるとは思わんかったわ……なぁひよりちゃん?」


ひより「はい?」


アニキ「龍造じいちゃんの死因、知っとるか?」


ひより「えっと……老衰で大往生って聞いてます」


 テツ「そら98ならしゃーないわあああぁぁぁ!!! よう生きはったわ龍造はぁぁあああん!!!」

 

ひより「ん? ……ん……んん……zzZZ」

 

アニキ「せやな……98ならしゃーないわ……ワシの落ち度じゃ……」


 テツ「せやったらアニキ! 『南米の雪男ちん』は中止でっか!?」


アニキ「アホか男に二言はあらへん。行くで『ひなたヶ丘たんぽぽ商店街』」


 テツ「かんにんしてくださいよアニキぃぃいいいい!!!」

 

アニキ「ん?」


 テツ「もう嫌やああぁぁぁまた5歳児に『おっちゃん南米の雪男ちんらしいなぁ~』てほくそ笑みながらシャツの裾ピラピラされてアンパンマンの入れ墨見られるんは嫌じゃぁぁああぁぁぁぁ……て、どないしはりましたん?」

 

アニキ「ひよりちゃんの様子がおかしい」


 テツ「? ホンマや……なんや呆けてはる……なんか初めてキュアキュンキュンの変身シーン見たときのアニキみたいや……」


アニキ「昔のこといちいち掘り返さんでええねんっ」


ひより『ひ孫に隠れてしばらく娑婆に出えへん間に……』


アニキ「へ?」


 テツ「ほ?」

 

ひより『随分と貧相な奴らが幅を利かせるようになったんやのぉ……』


 テツ「ひよりちゃん?」

 

ひより『おうクソガキども。ワシのひ孫に何の用じゃ。事と次第によっちゃ承知せえへんぞ』


 テツ「なんやと!? なにアニキにクソガキ言うとんねんジャリガキがぁあッ!!!」


アニキ「お前も言われとるんやぞ」


ひより『ほう。ワシにそないな口を利くか。威勢だけはいっちょまえやな。気に入った。まずお前から施術したる』


アニキ「施術……?」


ひより『おう。足裏マッサージしたるさかい、靴と靴下脱いで、こっちに足裏向けぃ』


 テツ「は? なに意味わからんこと抜かしよるねんこのバラガキがぁ」


ひより『ええからはよこっち向けぃ言うとるやろがぁあッ!!!』


アニキ「!?」


ひより「それとも何か? この組の奴らは、かわいいかわいい女子中学生に裸足の足裏見せられんぐらい肝っ玉も小さいんかのぉ?」


 テツ「そこまでガキに馬鹿にされて黙ってられるかクソがぁぁあああ!!! いま靴下脱いだるさかい待っとれやオンドレがぁああ!!!」


アニキ「おいテツやめとけ! ひよりちゃんなんかおかしいぞ!!」


 テツ「ここまでコケにされて黙ってたら、ワシら『関東もふもふ組』の名がすたる! ワシが男を咲かせたります!!!」


ひより『よう言うた。度胸だけは認めたる』


 テツ「おっしゃ向けたで!! 何をやるつもりか知らんが、せいぜい気張れや!!!」


ひより『よっしゃ向けたな。全身の力抜いてリラックスせえよ。ワシがかつて『地獄の龍造』言われた理由、教えたる』


 テツ「何が地獄の龍造じゃリカちゃん人形みたいなキレイな指先しくさってからにぉぉぉおおおおおおお!?」


ひより「ここは肝臓じゃ。お前、暴飲暴食しとるやろ。肝臓が疲れとるぞ」


 テツ「いだだだだだだだ!? い゛だだだだだだだだだだ!?!?」


ひより『よう凝り固まっとる……いまほぐしたるさかい覚悟決めぃ』


 テツ「あぎゃぁぁああああああああ!?!? かんにんや!? もうかんにんしてやぁぁぁうえぉおおおお!?」


アニキ「テツ!? どないしたんやテツ!?」


 テツ「ゴリゴリされとる!? ワシの足裏のコリコリしとるところがごりゅごりゅほぐされとるぅぅううううう!?」


ひより『そしてここが腎臓じゃ』


 テツ「あぎゃぁぁあああああ!?!?」


ひより『お前、生のほうれん草好きでよう食うとるやろ。このままやったら石できるで石』


 テツ「なんでじゃぁぁあああ!? ワシはポパイみたいに強い男になりたいんじゃぁぁあああああ!?」


ひより『特別サービスや。念入りにほぐしたる。ごーりごーり……』


 テツ「ひぎゃぁぁぁあああああああ!?!?」


ひより『……よーしこれぐらいにしといたろか』


アニキ「テツ!? テツぅう!?」


 テツ「パクパクパク……アニキ……ワシは、アンパンマンに……なりたかったん……や……」


アニキ「テツぅう!? しっかりせぇテツぅぅううう!?」


 テツ「ガクッ……」

 

アニキ「テツ……ッ!!」


 テツ「……」


ひより『……施術のあとは新陳代謝あがっとるさかい、水分よーとっときや』


アニキ「おんどれぇぇえ!!! テツに何しくさったんじゃジャリガキがぁあああああ!!!」


ひより『せやから言うたやろが足裏マッサージしたっただけじゃ』


アニキ「何が足裏マッサージじゃ!!! それごときでテツが泡吹いて倒れるわけあらへんやないかっ!!!」


ひより『これがワシが『地獄の龍造』言われた所以よ……どんな病気も治したる……地獄の苦しみと引き換えにな』


アニキ「……!?」


 譲治「なんぞ騒がしいのぉ……」


アニキ「!? オジキ!?」


 テツ「カヒュー……カヒュー……ハッシンジャ……アンパンマン、ゴウ……」


 譲治「なんやテツが虫の息やないか!? どこのモンにやられたんじゃ!? 相手はどこの組や!?」


ひより『クックックッ……おおきゅうなったのぉ譲治……』


 譲治「!? なんやお前は!?」


ひより『おうおう。ワシを忘れたんか? 小さい頃、ワシに向かってよう『おっちゃんの指いややー! 背中ゴリゴリしてきて痛いぃいい!!』いうて、涙と鼻水撒き散らしながら逃げ回っとったお前が……偉くなったもんやのぉ~。ぉお?』


 譲治「な、なんでそないなこと知っとるんや……!? ……まさか!?」


ひより『おう。お前をピーピー泣かせた『大門寺龍造』じゃ』


アニキ「なんやと!?」


 譲治「クッ……龍造……まさかそんな姿で生きとったんかワレェ……!!」


ひより『クックックッ……』


アニキ「オジキ……この、『大門寺龍造』てのは、ナニモンでっか……?」


ひより『おうおう。教えたれ教えたれ』


 譲治「……ワシがまだガキやった頃から極道の世界にその名を轟かす伝説の整体師」


 譲治「整体や鍼灸、足ツボ、カイロプラクティックにアーユルヴェーダ……古今東西あらゆる施術に精通し、どんな病も治す凄腕の整体師や」


アニキ「凄腕の整体師……!?」


 譲治「おお。その代わり施術は地獄の苦しみ……真冬にタンスの角に足の小指をほんの少しコツンとぶつけるよりも痛い……」


アニキ「んなアホな……そないな痛み、耐えられへん……ッ!?」


 譲治「そうや……誰も耐えられへん……せやからついた異名が『地獄の苦しみを生み出す龍造』、『地獄の龍造』や……」


ひより『クックックッ……懐かしいのぉ……譲治のことを診たときのことを思い出すで……』


アニキ「!? コイツにマッサージされたことあるんでっかオジキ!?」


 譲治「ある。小さい頃、鼻詰まりで寝られんくなってな」


ひより「『おはながつまって息がでけへーん!? 寝られへーん!?』いうて泣いてたんよなぁ。譲治ボウヤは」


 譲治「せや……そしてお母さんが『なんとかしたるー』言うて呼んでくれたのが、地獄の龍造やった」


 譲治「確かに治った。鼻詰まりはな」


ひより『当たり前じゃ。ワシを誰や思うとんねん』


 譲治「せやかてあまりに痛い施術やったさかい、暫くの間は悪夢にうなされるようなってな……お母さんと一緒やないと寝られんくなってしもうたんじゃ……」


アニキ「くッ……地獄の龍造……なんと恐ろしい男や……いや今はチューリップみたいに可愛らしい女の子やけど……ッ!?」


ひより『クックックッ……お望みとあらば、今からまたお前を泣かしたってもええんやぞぉ譲治ぃ……』


 譲治「クッ……ワシも今は組頭……醜態をさらすわけには……ッ」

 

ひより『クックックッ……』


ひより『……ウッ!?』


アニキ・譲治「?」

 

ひより「ま、待てひより……今はアカン……起きてきたらいかんのんじゃ……ッ」


 譲治「な、何を言うとるんじゃ……?」


ひより「アカン……ひよりが、起きてきよる……ッ!? ……ぐぅ……zzZZ」


アニキ「な、なんや……突然寝入りよったで……天使のような寝顔でスヤスヤとよう寝とる……?」


 譲治「何が起こったんじゃ……」


ひより「……あれ。私、いつの間にか寝ちゃって……?」


ひより「あれ!? おじさんが倒れてる!?」


 テツ「カヒュー……カヒュー……」

 

ひより「大丈夫ですかおじさん!?」


 テツ「バ、バタコサン……早う、新しい顔をこのアンパンマン……ニ……」


ひより「ものすごく穏やかな顔で眠ってる……一体何があったんですか!?」


アニキ「覚えてないんか……? ひよりちゃん……」


ひより「……へ?」


 譲治「よせ。この子は覚えてへんし、テツはこの子が殺ったんちゃう」


アニキ「し、しかしオジキ! さっきまでひよりちゃんは……!!」


 譲治「大方、ひよりちゃんが意識を失っとる間だけ、龍造が出るんやろ。ひよりちゃんは悪くない」

 

アニキ「……ッ」


 テツ「チーズ……それはワシの新しい顔じゃ……食うたら、アカン……」

 

ひより「ふぇぇえぇぇ……おじさんがアンパンマンになっちゃうよぉ……」


アニキ「……オジキ。一つええですか?」


 譲治「なんや」


アニキ「ワシとテツはオジキの指示で、大門寺龍造を探しました」


 譲治「おう」


アニキ「色々と予想外なことはありましたが、まさか大門寺龍造がこないな危険人物やとは思わんかった……そんなクソヤバいヤツを探し出して、オジキは何がしたかったんでっか……?」


 譲治「……ひよりちゃん、言うたか?」


ひより「……は、はい……私は大門寺ひよりです……」


 譲治「ひよりちゃん。マッサージは得意か?」

 

ひより「はい……家族のみんなは『まるで龍造おじいちゃんみたいにマッサージが上手だね』って褒めてくれます……」


 譲治「そかそか……なぁひよりちゃん。おっちゃんたちと一緒に、天下を獲らへんか?」


ひより「へ……?」


 譲治「ひよりちゃんの中には、みんなを元気にする大門寺龍造の魂が眠っとるみたいや。そこで死んどるテツも、その龍造おじいちゃんが殺ったんやで」


ひより「そ、そうなの……?」


 譲治「そうや。そんな龍造おじいちゃんの力を持ったひよりちゃんがおったら、この東海だけやない……全国の極道が、ワシとひよりちゃんにひれ伏すんや。ひよりちゃんの、極悪マッサージの前にな」


ひより「へ……な、何言ってるのか、わから、ないです……」


 譲治「ひよりちゃん。ワシらと一緒に、この国の天下狙ってみぃひんか?」


ひより「……zzZZ」


アニキ「!?」


 譲治「ひよりちゃん?」


アニキ「オジキあかん!!! ひよりちゃん寝とる!!!」


 譲治「!?」


ひより『ワシに断りなく何ひよりに秘密をバラしとるんじゃクソガキがぁぁあアアアッ!!!』


 譲治「龍造!?」


ひより『オンドレが天下狙うんはオンドレの勝手や! ひよりを巻き込むのも危険な目ぇに遭わんかぎり許したる!!』


アニキ「そこはええんや……」


ひより『せやけどワシの秘密を断りなくバラしたことは許せん!!!』


 譲治「せ、せやかてお前とひよりちゃんにも悪い話やないはずや!?」


ひより『覚悟せぇよ譲治……全身くまなくほぐしたる……どこからほぐされたいか自分で選べ。ふくらはぎか。それともこめかみか』


 譲治「ちょ、ちょお待てや龍造おじちゃんッ!?」


ひより『それともリンパかぁぁああッ!?!?』


 譲治「ぁぁああぁああぁああぁあああああああああ!?!?」

 


◯数十分後


ひより『ふぅ……これぐらいでまぁ許したる』


 譲治「あ、ああ……あががが……」


ひより『譲治。オンドレは太り過ぎじゃ。もっと野菜も食って養生せんと早死にするど』


アニキ「お、おごご……な、なんでワシまで……グハッ」


ひより『お前は背骨が曲がっとったさかい、まっすぐにしといた上に肩甲骨剥がしたった。特別サービスじゃ』


ひより『ええかお前ら。これからお前らはワシの舎弟じゃ。ワシがカラスは白い言うたらカラスは白いし、ポテチはゼロカロリー言うたらゼロカロリーになるんじゃ。ええな?』


ひより『それから、ワシの舎弟いうことは、ひよりの舎弟いうことや。ひよりの言葉はワシの言葉や思うて、よう仕えぃ』


ひより『それが今回の迷惑料と、マッサージ代の代わりじゃ。安うついてよかったな。元気になれた上に、こんなに可愛いうちの娘に仕えることができてお前らもうれしいやろ』


 譲治「そ、そんなこと……極道のワシらが出来るわけ、あらへん……ッ」

 

ひより「どうやらオンドレはケツ筋のほぐしが足らんかったようやのぉ。もういっぺんやってもええんやぞ」


 譲治「ひ、ひぃぃ……」


ひより「そこのガキを見てみぃ。身の程をようわきまえとる」


 譲治「……?」


アニキ「キ、キュアキュンキュン……迎えに、来てくれたんか……?」


 譲治「クッ……」


ひより『じゃあワシは引っ込むさかい、ひよりはお前らが丁重に家まで送り届けぃ。ズルしても無駄やぞ。ワシは引っ込んでもひよりのこと見守っとるさかいなぁ』


 譲治「クッ……地獄の龍造……ッ ガクッ」


ひより『じゃあの。また来たるわ……zzZZ』


ひより「……あれ。私、また……」


ひより「!? ぇえ!? こ、今度はみんな倒れて……!?」


ひより「い、一体何があったんですか!?」


 譲治「……あ、悪魔のような男……に……ッ」


ひより「え、ぇえ!?」


ひより「ねえテツさんアニキさん!? 何があったんですか!?」


 テツ「ワ、ワシは……愛と、ゆ、勇気だけが……トモダ、チ……なん、じゃ……」


アニキ「めーぇいっぱいキュンキュン……せーぇいっぱいキュンキュン……悔し涙吹き飛ばす応援プリーズ……ハイッ……」


ひより「みんな……みんな昇天しちゃったよぉ……」


おわり

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