第7話 闇野美琴の復活!!

テレビをつけますと、銀座で川村君が大暴れをして街を廃墟に変えていました。

スター流のみなさんが応戦していますが大苦戦しているようです。

ですが、わたしはヒーローを辞めた身ですから、祈ることしかできません。

普通の人間は普通の人間らしく過ごしているのがいちばんです。

ホットココアを飲んでいたムースさんが言いました。


「美琴様は、これでいいのですか」

「やっと普通になれましたから……」


そのとき、扉が勢いよくノックされてずぶ濡れの不動さんが入ってきました。


「美琴、手を貸せ。今回ばかりはお前の力が必要だ。ニュースを見てわかっているはずだ」

「……わたしが復帰しても、川村君に勝てるとは……」


わたしの返事に眉間の皺を強くして両肩を掴んで不動さんは言いました。


「あのスターも前線で戦ってる! メープルもだ! 正直、川村の強さは異常だ……

ここで負けたら地球が滅びるんだぞ!」


わたしは彼から目を逸らしました。

不動さんもわたしの肩から手を放しました。


「美琴様。確かに美琴様は普通ではありませんでした。

人間から見ても、スター流から見ても。でも、その力があるからこそ、普通で善良な人を守ることができるのではないですか?」


なぜでしょう。

ムースさんの言葉がとても心に響いてきました。


「それに、ひとりぼっちではありませんわ。わたくしも不動様もいます。他の皆様だって、みんな美琴様が大好きですわよ。ジャドウ様は例外かもしれないですけれど」

「ふふっ。ですね」


なぜだかおかしくなって、笑ってしまいました。

ずっとひとりぼっちで輪の中に入れないと思っていましたが。

わたしはとっくの昔にスター流の輪の中に入っていたのですね。

わたしは勾玉を渾身の力を込めて床に叩きつけました。

するとガラスのように砕け散ってパワーが漲ってきました。


「ムースさん、不動さん。行きましょう!」

「さすがは俺の弟子だな」


不動さんがフッと好戦的な笑みを浮かべました。


「それでこそ美琴様ですわ!」


ムースさんが抱き着いてきます。

ああ、やっぱり。

この方たちは最高です。



「川村君。お久しぶりですね」

「美琴殿でござるか……」

「やっと、来たわね。遅いじゃないの……」


息も絶え絶えのメープルさんたちに駆け寄り、能力で応急措置をします。


「あとは任せたわよ」

「はいっ!」


三人が瞬間移動をしたのを確認し、改めて川村君に向かい合います。

以前は一瞬で倒されて負けましたが、今度は違います。

必ず勝ちます。


「参ります。川村君!」

「斬心刀・華麗米斬り!」


川村君が得意技の剣技を見舞ってきますが、わたしの目には軌道が見えていました。

前は捉えることさえできなかったのですけれど、今は違います。

米の字に放たれる斬撃を全て指で弾き、彼のお腹に蹴りを打ち込みます。

盛大に吹き飛ばされ、再び突進してきます。

目の前で跳躍し、真上から太刀を振るってきますが、両手でキャッチします。


「これ以上、悪いことはしないでください。川村君、いえ、フェレストさん! あなたが川村君を乗っ取っているのは知っているんです」


すると、威厳のある男の人の声が川村君の口から聞こえました。


「わしは川村の身体を使って全宇宙を支配するのだ。誰にも邪魔はさせん」

「そんなことをしても、あなたの心は満たされません!」

「試してもないのにそんなことわかるわけなかろう。小娘よ、貴様もここで散れ!」

「いいえ。わたしは川村君やスター流の皆さんと一緒に世界の平和をこれからも守っていきます!」


それは、わたしの心から出た声でした。

普通でいられないのは辛いかもしれません。

でも、だからこそできることがあります。


「不動さん。技をちょっと使わせてもらいますね」


川村君の小柄な身体を天高く放り投げ、追いかけてバックドロップの体勢を取ります。

そこから落ちる段階で猛烈な回転を加えていきます。


「川村君、今、助けますからね。スーパートルネード……不動倶梨伽羅落とし~!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ……」


川村君にとりついていた大悪魔のフェレストさんは彼から抜け出した後に跡形もなく砕け散ってしまいました。

川村君はブンブンと頭を振って。


「あれ? 拙者は何をしていたでござるか?」


何も知らない彼に真実を告げるのは酷ですから、わたしはこんなことを言いました。


「悪い夢を見ていたんです」


そして彼が破壊した街や人は元通りになり、平和が再び訪れました。

わたしはこれからもスター流の一員として世界の平和を守り続けます。


おしまい。

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闇野美琴と闇野髑髏 モンブラン博士 @maronn777

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