初年度
我が愛好するものたち
幼い頃から親の趣味の影響を受けてきた。それはさながら洗礼。特に音楽は専ら母の趣味だ。
私がインターネットに触れ始めたのは約十年前。新参者だ。いつも不思議だった。
インターネットには何があるのか不思議だった。
いつしかインターネットで生まれた
まず、絵画の趣味についてお話ししよう。
私はドガの『踊り子』が大好きだ。色彩、構図、モチーフ、被写体・・・どれをとっても素晴らしい。しかし一番素晴らしいと感じたのはドガの執着心だ。
皆様は「ロリコン」をご存じだろうか。言わずもがなロリータ(15歳あたりの女性)を愛する人のことを指す。ロリータの語源はウラジミール・ナボコフの著作『ロリータ』である事は有名な話である。
ドガは、端的に結論を言うと、ロリコンである。しかも中々の拗らせの。
ドガの創作物に有名な『14歳の小さな踊り子』という蝋の彫刻作品がある。あれこそ現代の
詳しい事はまたいつか。さっさと次の話題へ。
小説、文章の趣味について。
私は寺山修司氏、三島由紀夫氏、中井英夫氏、嶽本野ばら氏、そして、澁澤龍彦先生の文章を好んで読んでいる。
これもかれこれ八年前、嶽本氏の『下妻物語』を読んだ。相容れない2人の確かな友情と、2人の生き方に胸を打たれた。中学時代のイチゴのような作り笑いを必死にして周りの機嫌を必死になって取っていた私は、笑うのをやめた。
寺山修司氏は意外にも競馬関係で出会った。五年前から親の影響で競馬に浸かっている。もちろん馬券は買わない。買えるようになっても、買わない。私は競馬の歴史、日本の名馬を調べていくうちに「ミスターシービー」という馬が好きになった。
一九八三年の三冠馬である。
最強の戦士と呼ばれるかのシンザンから十六年ぶりに三冠馬になった。
正直にいうと、惚れた。ミスターシービーに惚れた。
寺山氏もそうだったようで美しさを讃えた上で亡くなる直前「ミスターシービーが三冠馬になる」と評している。
三島由紀夫氏との出会いは学生運動を調べ上げている時だった。
「あの芥正彦と討論をした人間がいる⁉︎」
これが三島氏との劇的な出会いだった。
三島氏の考え方や小説を読むたび、のめり込んでいってしまった。さながら蟻地獄。私の数少ない『読み返す作家』の一人だ。
私の人生を変えた、といえば大袈裟になるのかわからないが、本当に私の人生を変えた作家が、澁澤龍彦先生だ。
耽美なる仏文訳者として私の前に現れた澁澤先生は、その文章の書き方もあって私の思考回路を文字通り
マルキ・ド・サドとの出会いも澁澤先生が作ってくれたものだ。悪徳の栄えを読んだ私はその時の感性を捨て、まっさらな思慮を感じたものだ、
絵画にも明るく、また人の才を見極めるのがとても上手い人。私は澁澤先生の評論や対談から中井英夫氏や四谷シモン氏を知った。彼らは私の生き方まで変えてしまったのだ。
音楽は意外と好むジャンルが広い。
クラシック、アイドル楽曲、歌謡曲、演歌、ロック、プログレ、オルタナ、ボカロ、アニソン(所謂平成アニソン)・・・
どれも好きだし、広く聞く。しかし、私の音楽観を作ったのはこれらでは無い。
テクノだ。
テクノといえば皆様はきっとYMOを思い浮かべるだろう。世界で輝くテクノポップバンドである。もちろん、YMOも好きだ。『東風』の衝撃は物凄いものだった。
YMOと同時期にメジャーデビューしたテクノポップバンドが三つある。
プラスチックス、ヒカシュー、P-MODELだ。この三バンドを纏めてテクノ御三家なんて呼んだりする。
嘘と思うかもしれないが本当のことを言う。私は物心ついた時からP-MODEL、平沢進氏の楽曲を聞いている。勿論当時はこの楽曲が誰が歌って、アーティストは誰で、なんと言う曲名なのかなんて知らなかった。四年前にいつも車の中で流れていた曲が『Another Day 』という曲だと知った。
そこからは早かった。
P-MODELの曲も、ソロ名義も、平沢氏と関わりのあるアーティストの曲ー例えば、有頂天、ヤプーズ、戸川純、ロンバケ、その他諸々。そして有頂天からナゴムレコード、たま、筋肉少女帯、電気グルーヴ…。
とにかく聞いた。聞いた結果、ただの音楽オタクが生まれたわけだが。
テクノは私の血肉となり永久に流れるだろう。
我が愛好するものたちは全て私に帰依する。神聖なものと感じ、神聖なものとして扱っている。耽美主義として己の美を追求し、それすらに破滅を見出す。
好きなものを好き、嫌いなものを嫌いと声を高らかにして叫べる世の中でありますように。
花園Iからの調べ 越智和泉 @Biiig_me
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