柔らかいくうきの鋭いいたみ

灯村あわ

第1話

昨日から 透き通り始めた 僕の風

   黒の名刺を 横目に流す


追われる 追われる 追われる

   速さと瞬きに目を奪われ きっと、


芝生から逃げ出した 霧影は

   あの日逃した くじらぐもの笑い


教室で 「またお前かよ」の 応酬が

   きらめくアレは 恥じらいの恋


肌寒さに ふと目を覚ませば

   ぐるぐる巻きの彼女と 僕しか居ない部屋


Fコード 弾けないのなら ギターじゃなく

   僕の手だけを 握っていて


君が居ないから死にたいとか、

   本気で馬鹿で死ねって爆破


『夏なんて来なければいいのに』

   曖昧に 頷く僕と 梅雨の足音


ネモフィラを 瑠璃唐草と呼ぶあなたを

   そろそろ許してもいいと思う


柔らかいくうきのなかで 年齢分

   重ねてきた君や あなたとのこと

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