心の埃を払う月夜に響く、想いの声
- ★★★ Excellent!!!
廃校となった深夜の校舎で、少年と少女が出会ったのは、ただの「声」ではありませんでした。そこに宿っていたのは、かつてこの場所で輝いた選手たちの誇りや、挫折、そして諦めきれない想い――。静かな月明かりのもと、埃を払う少年の手のぬくもりが、過去と今とをやさしくつないでゆきます。
この物語は、心に積もった「想いの埃」をそっと払いながら、自分自身の中に眠っていた大切な記憶や感情に、もう一度触れさせてくれるようでした。
読み終えたあと、ふと、自分の中の「心のトロフィー」はどこにあるだろう――そんな問いが、そっと胸に浮かんできます。過去を肯定し、今を愛おしく思える、あたたかな一編でした。