これは謎解きではない、心の解体である。

　このみかん様の作品『ある依頼』は、予想を良い意味で裏切ってくる、不思議な余韻が残る物語です。

　登場するのは、密室のような探偵事務所で不思議な双子のヒューマノイドに迎えられる木場幸之助、そして“すべてを瞬時に解決する探偵の”美祢“。優雅でどこか芝居がかった美祢の語り口と、冷たくも精密なAIのやりとりが、物語をただの推理劇ではなく近未来サスペンスのような独特の空気に引き込んでいきます。

　この作品は、SFやミステリー、そしてサスペンスが好きな読者だけでなく、人の業や後悔、贖罪に興味がある人にもぜひ読んでほしい物語です。現実から一歩ズレた世界で描かれる“真実の追求”の行方、ぜひその目で確かめてください。