人肌に触れるのは、初めてだった。
それだけでも、ヒロインである桜子の寂しさを物語っていた。冬という寒々しい景色がまた、その描写に拍車をかけているとも。
しかし同時に、その寂しさへの終止符も暗示している。
人肌の主――桜子に手を差し伸べた武臣だ。
家族に軽んじられ、一度は死を迎える桜子。
普通に生きたいと願う桜子。普通に生きたいのであれば、手を取るようにと促す武臣。
家族との確執、異能、陰謀などさまざまな要素が組み込まれた物語の中、最初はぎこちない。しかし、徐々に二人の距離は縮まっていく。
凍える冬から抜け出すように徐々に徐々に。
幸福を願わずにはいられない桜子の人生の転機。
願うは普通の人生。
結末は果たして……最後まで読んでみてください。
おすすめです。
先読みの異能がない主人公桜子は家族や婚約者から軽んじられ、味方はたった一匹の犬。不遇の中で、命すら落とすことになりますが、絶望の淵からのよみがえりを果たします。それでも変わらないつらい日々。
そんな桜子に手を差し伸べたのは白鬼と怖れられる軍人、武臣。
彼も深い秘密を抱えていて──。
45000字ほどの物語の中で、死に戻りや陰謀、帝都の闇、復讐など目を離せない展開がテンポよく組み込まれていて作者様の構成力にびっくりです。
つらい立場の中でも凛とした優しさを失わなかった桜子さんと、そんな桜子さんとともにあることで少しずつ夫婦になっていく武臣さんが微笑ましい。
特別な異能を持つ二人ですが、二人の願いはごくありふれた普通の幸せ。
どんな異能を持っていても、神様でも、鬼でも、寄り添い合い、助け合えなければ叶わない願いなのかもしれません。
その願いはかなうのか、ぜひ読んでみてほしいです!おすすめです!