第4 話『水無月の大祓い』
金沢駅からバスで移動した。
行き先は尾山神社。
今回の旅の目的地だ。
主祭神は加賀藩の藩祖前田利家と妻の芳春院(まつ)。
そう、『利家とまつ』だ。
武将の御祭神であることから、『文武両道』『必勝』のご利益があるといわれている。
また、夫婦でおまつりしているので、『夫婦円満』『子宝安産』を祈願する人もいるらしい。
神社拝殿の前にある神門は重要文化財に指定されている。
わたしはこの神門が大好き。
洋風建築を模した擬洋風建築の中でも、中国風の混入した数少ない建物の1つ。
和漢洋の3様式を取り入れた斬新なデザインだ。
アーチ状のくぐる部分がある門の土台はレンガ積みでできている。
そして、その上に中階と最上階があり、階を追うごとに小さく作ってある。各階の肩が垂直ではなく竜宮城のようにカーブしている。
神社の正門ではあるが、最上階には色ガラス(ギヤマン)がはめられ灯台の役割を果たしていたと伝えられている。
実際に昔は、金石や大野などの金沢市の港町からその姿が見えたという。
わたしはその色ガラスが好きなのである。
紫、赤、緑、黄色いろいろな色が昼間はお日様の光を浴びて、キラキラと光っている。
そして、その色ガラスのはまった最上階の屋根には避雷針が天に向かって延びている。
これは日本最古の避雷針とされているもので、現在も現役だそうだ。それって、スゴいよね。
北陸は雷が多く、高い建物は雷の被害に遭う可能性があるとしてつけられたんだって。
わたしはこの神門を見ただけで、なんかご利益を感じる。
神門を通り、境内へ進む。
拝殿の前の石畳。
長さ3メートルくらいの2本の笹が立てられている。笹から笹へ1本の縄がかけられている。縄には御幣が等間隔て結われて、縄の中央に茅(かや)で作られた茅の輪(ちのわ)がぶら下がっている。
茅の輪は直径1.8メートルくらい。
この茅の輪を正面から最初に左回り、次に右回りと 8 の字を描いて計3回くぐることで、半年間に溜まった病と穢れを落とし残りの半年を無事に過ごせることを願うという儀式だ。
これが尾山神社の
『夏越大祓式』
(なごしのおおはらえしき)
茅の輪の正面に立つ。
最初に左回り。
次に右回りと8の字を描いて、くぐる。
そして、くぐりながら、和歌を唱える。
『水無月のなごしの祓する人はちとせの命のぶというふなり』
儀式というものはすることに意味があるわけじゃないと思う。
その儀式の意味やいわれを理解した上で、それを信じることに意味がある。
信じるとはいっても、闇雲にそれを当てにするんじゃない。
そうなるように意識することが大事だと思う。
意識を変える。
それはスゴく効果的なこと。
けど、簡単にはできない。
だから、人は儀式に頼るんだ。
なんか、気持ちが晴れた。
きてよかった。
第5話『祓いの効果』へ続く🧳♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます