第3話『おみくじ』

地下広場を出て、駅には戻らず、隣の商業施設へ。

途中、花壇のように盛り上がった芝生に謎のオブジェ。

錆びた金色の大きなやかんが傾いて、下半分が地面に埋まっている。

『やかん体、転倒する』

芸術作品らしい。

意味はわからない。

施設にはシネコンが入ってるみたい。映画ポスターがズラリと並んでる。ラインナップ、鳴かず飛ばす。

わたしは施設に入った。

程よい冷房が恥ずかしさで火照った体に心地よい。

1回のブース。持ち帰りのお店でレモネードを買った。透明なプラ容器に入ったレモネード、一気に飲み干す。

人心地ついた。

飲み干した容器を見つめるショップのお姉さん。

「よろしかったら、いただきましょうか?」

そういわれて、空容器をお願いした。勢いに任せた一気飲み。も〜、はしたないな〜。

恥ずかしくなって、用もないのにエレベーターに乗り込んだ。

着いたフロア、その一角でポップアップショップ『パンどろぼう』をやってた。

わ〜、絵本のキャラだよね。

わたし、好きだな。

ショップの中を見て回ると、パンどろぼうのお人形。手に取ると、パンの部分がズレていた。

ん?

なんだ、コレ。めくれるぞ···

あ!

でかるちゃ〜!

衝撃を受けた。そ〜だったのか!

パンどろぼうの正体を初めて知った。ダース・ヴェイダーの正体より衝撃的だった。

その興奮を抑えられないまま、上のフロアへ。

上のフロアには、ポケモンショップがあった。

キャラものに飢えていた。迷わず足を踏み入れた。

わりとお客さんでイッパイ。

外国の観光客も多い。ポケモンは世界で大人気だ。

子どものとき、ゲームの中でポケモンを育てていて水系ポケモンの『ミズゴロウ』というポケモンがお気に入りだった。かわいがって育てていたら、ある日進化した。進化したその姿に驚愕した。その日からポケモンをやめた。

トラウマだ。

ヌマクロー。

あれはヤバい。

ミズゴロウのぬいぐるみを発見した。かっわいい♡

買おうかな···イヤ、やめた。

枕元に置いて、朝、目が覚めて、進化していたら、泣いてしまう。

ワゴンの上、大量のモンスターボール。モンスターボールのケースの中にランダムにポケモンのプチぬいぐるみが入ってるみたい。10種類のポケモン。

今の引きの弱いわたしなら、きっとビリリダマだな。

ま、いいや、一個買ってみよ。

おみくじみたいなもんだ。


第4 話『水無月の大祓い』へ続く🧳♪

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