グレースケールの階段
片桐秋
第1話
僕はいつの間にか、そこにいた。真っ黒から白に近い灰色に変わる階段を。下は黒で、上に行くほど白っぽくなってゆく。
僕はその階段を上ってゆく。足元は確かだ。六階建てほどの雑居ビルと別の雑居ビルの間にある。どちらのビルに付いている階段なのかは分からなかった。
すぐに踊り場に上りついた。踊り場で立ち止まる。踊り場もグレースケールの中間の色をしていた。踊り場より下は、より黒っぽく。上は、より明るいグレーだ。
僕は踊り場からさらに先を目指す。グレースケールの階段は、さらに白に近づいていった。
「白い……白い階段」
僕はつぶやく。白っぽい階段を上ると、僕の黒い服もだんだん白っぽくなってきた。日が差している。日差しもまた白っぽい、朝の光だ。
二階にたどり着いた。扉は黒かった。扉の前の床、階段を上りきったところの床は真っ白だった。外にあるのに汚れもない。誰が掃除しているのだろうか。
僕は扉を開けて中へ入った。そこにはまた階段があった。下へ下りる階段で、見下ろすと黒から白へとグレースケールが展開していた。
僕はその階段を下りていった。
終わり
グレースケールの階段 片桐秋 @KatagiriAki
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