かっこ悪い夏なんてない

並木空

かっこ悪い夏なんてない

アオハルだというけれどどこが春だと熱い青空を振り仰ぐ


肌にペタリと貼りつくシャツが不快さを増す通い慣れた道で


影を探して歩く路はもうすぐ最後になるとバッグが重い


引退試合は近いボール拾いで終わる三年間の結果


ハチミツにつけた輪切りのレモンを割った炭酸飲料を飲む


穏やかに笑うクラスメイトの女子からの全員への差し入れ


同じクラスだったけれどカノジョとの接点はまったくなかった


疲労回復する塩分タブレットをかじるような気持ちになる


夏の沈まない太陽が肌を小麦のように焼くような想い


かっこ悪いとこは見せたくないとボールを拾いながら夏を見る

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かっこ悪い夏なんてない 並木空 @iotu

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