第4話 青香が学園に来ることになったワケ

⚪︎同刻 とある中庭で… (神視点)

 蒼琳が屋上で考えごとをしていた時、1人の女子生徒…御正門青香もまた、中庭で物思いにふけっていた。さっき自販機で買った。炭酸ジュースを飲みながら。


⚪︎御正門青香の心のうち

 私の名前は御正門青香。この武庄ヶ原学園に通う高校1年生…っていうのは私の仮の姿。私の本当の名前は御門香(みかどかおり)。

 私の母…御門莉子(みかどりこ)が統率する犯罪組織『御聖』のもと、「殺し屋『聖』」として裏社会で活動している。

 私の属するこの組織は、先々代から同じく犯罪組織である『琳牙』と激しい抗争が続いており、私も日々、『琳牙』の構成員を相手に『仕事』をしている。

 しかし、一般なザコの構成員と違い、『琳牙』の跡取り、『牙』とは初めて戦ったときからずっと決着がつかない。

 母は私を女手一つで育ててくれた。私には…父親がいない。

 4歳の時に父が何者かによって殺され、悲しみに打ちひしがれていた私。

 そんな私を母はそっと、優しく抱きしめてくれた。

「大丈夫だ。私はお前を絶対に1人にはしない。だが、少なくとも自分の身は守れるようにならないとな。」

 その後、私は母や幹部たちから暗殺術などいろいろなことを教わり、7歳になったとき殺し屋として活動をスタート。

 今では裏社会で『牙』と並んで(並びたくもないが)『化け物』と恐れられる存在となっている。

…そんな私がなぜ、学生としてこの学園で高校生活を送らなければならなくなったのか。

それは1週間前に遡る…。


1週間前〜御聖本拠地・御門邸〜 

「え?」

 私は困惑していた。母の言葉に。

「お前は今から武庄ヶ原学園高校へ行ってこい。理由はお前の婚約者探しのためだ。期限は1年。同い年で、病弱じゃないヤツな。これも組織の繁栄のため…と言いたいが、私はお前の母として、お前にそれなりの青春を送ってほしいんだ。」

 突如母の部屋に呼び出され、何事かと思い聞いてみた結果がこれだ。

「唐突すぎます。お母様。婚約者なら我が組織の力を使ってお見合いだろうがすれば良いじゃないですか。どうせ愛もクソもないですし。」

 と私が言うと母は

「何言ってんだ。組織の繁栄も大事だが、だから…お前には『愛』を学んで欲しいと私は言ってんだ!もういい、これは私からの命令な。もう一度言う、お前は今から武庄ヶ原学園に行け。」

 謎のゴリ押し…。はぁ…。

 母とはいえどボスの命令だし仕方ないか。

「あと1つ、そう、今日からお前の名前は御正門青香だ。くれぐれも…身バレだけは絶対にするな。婚約者候補を見つけたらすぐに報告すること!わかったか?」

「分かりました、お母様。必ずや婚約者となるものを見つけてまいります。」


 そして現在へ至る。

「婚約者…ね。一体どうやって探せばいいのやら。正直言って人を殺すよりも厄介な任務だわ。ただ…『青春を送る』などというバカバカしいことをさせるのはお母様なりの気遣いなのかもしれないわね…。そういえば1人だけ気になるっていうか怪しいヤツがいたわ…。…芹雅蒼琳。アイツだけ気配が何かおかしいもの。」

 そう声にならない声で呟いて、私は教室へと向かったのだった。



 

※作者より一言

お久しぶりです。

ちいーっとだけ時間を見つけて、下書き途中の今話を仕上げました。

また5日まで更新ができないですが、どうかこれからも応援よろしくお願いします。


プロットだけ構成中の作品あります。

① バチバチ系ラブコメ

「そこ退けよクソ女!」「はァ?お前が退きなさいよ!クソ男!」から始まるラブストーリー〜最初から最悪すぎる2人の仲は絶対に、絶対に恋人へなんか進展しません!(しませんよね?)

② 神様(ピュアすぎ)の夫婦漫才系

忘れられし二つの御神、外へ出で来て、現代文化を学びにけり〜日本のとある神様2人は高校生として、現代文化の何を学び、何を思うのか?

③ タイムスリップ系、歴史改変

は?『お国のために死ね』?そんなくだらない価値観、この俺がぶっ壊してやるよ。〜戦時中にタイムスリップした無駄を嫌う最強自衛官、未来の知識で世界をも変える〜

            

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Killer’s Love 〜血塗られた青春〜正体を知らない殺し屋高校生男女が紡ぐ物語 晴れドコロ(旧・どこにでもいる晴れ男) @hare_tutsi_yo

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