第35話 リムジンでGO

給食中。僕はずっとそわそわしていた。

これを食べ終わって家に帰ったら、マロンと一緒に中津川なんだ……。

そしてついに、ごちそうさまでしたを口から発した。


家路につくと、マロンが後ろからやってきた。


「よっ、明久斗君」

「や、マロン」


軽く返事してマロンを見る。

絶好調らしく満面の笑み。ま、そりゃ事件現場に行くならそうなるわな。


「アキ君や隼人君も読んでおいた。学校終わってすぐに三浦みつうら公園に集合してくれ」

「了解」


太っ腹だな。

そう思いながら帰ると、三浦公園に向かった。

すでに三人は来ていた。


「おまたせ、みんな」

「お――明久斗、やっときた。新聞見たぜ?だいじょぶ?」

「明久斗~~!待ってたでぇ!!」


アキが飛びついてくる。


「自分らで、絶対阻止するでなぁ。リーダーがマロンやろ、副リーダーが明久斗。やのに副リーダーが遅れるとはどういうこっちゃやねん」

「え、副リーダー?」

「せや。副リーダーが明久斗以外におるかいな。旅館の夏で言ったら若女将の白滝藍やで?」


ああ、白滝藍ね。

まっすぐに度力しながら、女将と協力して事件を解決していく姿がかっこい……じゃなくて。


「じゃ、よろしく頼むで。白滝藍に、白滝麻衣、千丈千速、そして俺、緑川連真」


「旅館の夏」のキャラクターに自分たちを当てはめているアキ。

僕達にしか意味が分からないけどやはり面白い。


「うん。行くよ蓮真君!」

「わかりましたぁ、藍さん!」


キャラの口調で話すと、目の前の大きな車の座席に乗り込む。


「私は麻衣か。いいじゃないか。行きますよ、藍、千速、蓮真君!」

「「「はいっ!!」」」


「旅館の夏」モードで座って、ふと気づく。


「おいマロン?特急で行くんじゃなかったのか?」


僕がそう聞くとマロンは腰に手を当てて答える。


「特急よりリムジンの方が早いからこっちにしたんだ。安く済むしな」


「「「リムジン!?!?」」」


僕たちの絶叫が社内に響く。

リムジンってあの、豪華で長い車!?

そういえばなんか豪華でかっこいいなあとは思ったけども。

普通のリムジンとちょっと違くない?

あと特急の方が早いでしょ


「スポーツカーを改造した最速リムジンだ。時速250㎞は出せるぞ」


その言葉に圧倒される僕達。


「マロン、お前……金持ってんな」


隼人がつぶやく。


運転席にはいつの日か見たマロンの執事の一条さんがいる。

やっぱり一条さんさっぱりしていてカッコいいよね。


そして出発!

運転席と後部座席の間には仕切りがあって、後部座席がひろい。

ゆったり座れて広々空間。


気分最高、行くぞ!!!

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シャーロックマロンの探偵手帳 かえで @kaedenikomaru

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