第35話 王都へ
人生15周年目の春。この時初めて女神の加護の効果(天命の導)を知ることができる。ちなみに僕は
評価はまあ使えんこともないが常に魔物からヘイトを買うわけだから上手く扱わないとすぐに死にそうだ。
これは個人情報なのでマリアにも教えてないし彼女の加護も教えられてない。
とまあ加護の話は置いておいてこの春と言ったらベルタゴスの学園の入学時期だ。当然のことながら僕たちは村から出なくちゃいけないわけだ。
「白が基調の制服……そこに青とか黄色が少しずつ配色されているのか」
聖騎士団の卵だから白ってことらしい。
制服のデザインはかなり良さげ。型も豊富で自分好みに魅せられる。
「ははーん。なかなかにイケてるじゃないか。ドンたる者、制服やスーツはビシッと決めないとね」
っと、そろそろ馬車がやってくる時間か。マリアはまだ外に出る気配ないし先に出ておくか。
「おっ……」
しばらくするとマリアが家から出てくる。
女子の制服もなかなかいいデザインだ。やっぱ白い制服だから清楚なイメージが出るのは当たり前か。カレーうどん食べたら汚れ目立ちそう。
「待った?」
「馬車もう来てるよ」
「ごめんごめん。それより何か言うことないー?」
「制服似合うね」
「うぅんそれもそうだけどもっと他にあるでしょ!」
んあーそう言えば髪が短くなっている。肩より少し上ぐらいだ。いきなりなんでまた……。
「レインって短い髪のほうが好きだって前言ってたよね」
あーセリアには長い方って言ったっけ? でも短い方が好きとは言ってない気がする。
「っていうのは冗談でイメチェンすると気分が変わるかなって」
「まあ変わるだろうね。それに長いと手入れが大変だろう。入学すると手入れする時間なんてなさそうだからさ」
「機能面じゃなくてー! もうっ……」
「なんだ旅立ちの前に最後の喧嘩でもしようってのか?」
あ、親父。微妙に髪伸ばしてるんだ。タワシみたい。
「お前らも立派になったなあ。ちょくちょくで良いから顔見せに帰ってこいよ。マリアちゃんも遠慮なく帰ってこい」
「は、はい。フォルネル家に6年間居候させていただきありがとうございました。今までの恩は一生をかけて返させていただきます」
「いいっていいってそういうの。気軽に顔見せに来るだけでいいからよ」
「はいっ」
「レイン、お前ヘタレだから死ぬんじゃねえぞ」
「ああ、僕は死んでも髪の毛は死なせないさ」
「おうそうか。まだハゲいじりしてくるとはゲンコツが必要そうだな」
「ちょちょちょ」
「まあ今日は気分がいいから見逃してやる」
親父は笑いながらカメラを構える。
「ほらっ、レイン写真!」
腕を引かれて僕はぎこちない笑顔で写真を撮られる。
「うっし、二人ともくたばって帰ってくんなよ。骨で帰ってきたら許さないからな」
骨で帰ってくるのは戦地に行ったときだけだろ。そもそも戦争はここ最近で全くないし死体になる機会はほとんどない。
「大丈夫です。レインに守ってもらいますから」
頼り甲斐のあるナイトとか言われてもただの一般騎士に落ち着きそう。
「お似合いだな。レインにはもったいなすぎるぜ」
秒で矛盾すんな。
「それじゃあ馬車も待ってるし行くね。頭皮だけには気をつけて」
「おう……っておいゴラァ!」
騒がしい父親を後に僕たちは王都へと向かった。
「むふふーん」
ご機嫌で嬉しそうなマリアは僕の横に座る。
「前空いてるじゃん」
「スカートの中見えちゃうじゃん……えっち」
青春の一部なのでありっちゃありだと思うが……やっぱり偶然というものがいいのだろう。覗きたくて覗いているんじゃない。気になるから覗くのだ。
「男ってそんなもんだよ」
「な〜にー? 見たいのー?」
ペラペラとスカートを動かすがそんな者に価値はない。
「チラリズムこそ最高のエロティシズム。必然なものに何の価値もないんだよ」
「へ、ヘンタイだ!?」
「自然の摂理だからしょうがないね。男はそういうのにめっぽう弱いし。マリアも落としたい人ができたら試してみるといいんじゃない? 結構簡単にいけるらしい」
「むぅぅぅう……」
暗殺もスパイもまずは艶で攻めてみるものだ。それ以上に効率的で簡単な方法がないからね。
とまあこんな感じのくだらない話ばかりしていたらいつの間にか目の前には王都が広がっていた。
これから僕たちの学園生活が始まる。
◇◇◇◇
もはや珍しくもなんともないベルタゴス王都。近々治安の悪化のせいか子どもがいなくなる事件が多発している。
僕調べでは闇ギルドが関係しているとかしてないとか。とまあ異常な思考している宗教団体が居るし治安悪化するのは仕方ないことだろう。
今年は特に聖人が聖騎士学園に入ってくるんだ。そう言うのを気に入らない変人どもがなにを仕掛けてくるのかわからない。
異世界式テロ事件でも起きれば大いに盛り上がりそうだが、こういうのは縁起が良くないか。
「王都の町並み綺麗だねー」
昼の入学式まで時間を潰すため僕らは王都を少し散歩することに。
「そだねー」
「……そこは『君の方が……』って言ってほしかったなー」
「チンチクリンに言えるほど阿呆な男じゃないよ。あ、マニーみっけ」
銀貨……こんなものを平気で落とすなんてこの国は豊かすぎるだろ。ということで僕のポッケにスチャァー。
「レイン、ネコババだめ。近くの騎士に届けよう」
「ちっ……」
こうして僕の銀貨は奪われる。
「向こうに聖騎士の小規模拠点があるよ」
「えーめんどくさいな」
「レインはもうちょっとやる気出してもらわないとー」
「はいはーい。じゃあこっちの近道で」
僕が指さす方向は路地。治安が悪化しているなら何かしらイベントが待ち受けていることだろう。
「そうだね。パトロールも兼ねてこっちから行こうか」
こんな強気に発言できるのは自分の強さあってのことだろう。まあ実際彼女は相当強いし。
「おっ……」
路地に入って数分。なにやら怪しい人影を2つ見つけた。あちら側も僕たちに気がついたのか慌てた様子でこちらを警戒する。
「ッ……見られたかっ!」
影の1人がそう言うと拳を握る。
「聖騎士学園の制服だな。丁度いい、俺たちはお前らが気に入らねぇしここでおもちゃになってくれ!」
問答無用で襲いかかる人影。やはり治安悪化はサイコーらしく僕好みのクズっぽい行動を見せてくれる。
「悪党成敗!」
だけどまあ相手が悪かったようでマリアの回し蹴りがこめかみを貫いてそのままノックダウンした。
「ヒィィィイ!?」
「いきなりなにをするのかと思ったけど手を出すってことはやましい考えがありそうだ」
僕は中指を引いて2人目の人影の体を縛った。
「なに!?」
「こっちも成敗!」
「まて! 俺は何もしてなぁぁぁぁ──」
バチンッと大きな打撃音が聞こえると2人は仲良く縛られマリアに連れて行かれる。
「お土産できたね」
「いや、まあ」
学生が暴漢を捕らえるってのも悪くはないが……マリアとの学生生活は相当目立つだろうな。
「聖人が狙われているかもね」
この服と紋章はアタオカ宗教団体、亜神教徒くんたちだ。
「そうなの?」
「亜神教徒ぐらいは聞いたことあるよね? 死んだ神こそ美しいって言う過激派のやつ」
「あー噂になってるやつね」
2人の所持品から僕たちが行く学園の地図の他に赤いマーカーのついた王都の地図が沢山あった。
「単に聖騎士の卵を潰したいってのもありそうだけど……今はまだ気にしなくても良さそうだね」
「ほんとに?」
何かを期待してそうな目だがあいにく僕は弱い。
「まあその時になったら誰かが助けてくれるだろうし」
「他力本願なのはダサいよ。ここは自分が助けるとか言ってくれないと」
「僕よりマリアの方が強いよ。もしもがあったら守ってくれ」
「情けないよぉレイン。私だって守られたい年頃なのにぃー」
2人を蹴散らした後では説得力は皆無である。
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実力ある異世界人を目指して〜憧れの悪役は実力隠してやりたい放題 グレープファンタジーの浅井 @washiKAMO
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