イナバの白兎

Iloha

第1話

手痛い目にあったの。


平成風に言えば手痛い目なう。

令和風に言えばなんだろうね。


悪意、ほんの少し。

いや大分。

文芸とは関係ない私生活でよ。


人間て恐ろしいのね。

でも澄まして仕事に行ってSNSなんて

投稿してる。


感じたことは嘘ではないの。

嬉しい、楽しい。


紐のように私を捉えた悪意は

皮膚をかぶれさせたの。

本当に痛くて仕方ない。

首に肩に背中に腕に。

ヒルが皮膚を這うようなの。


どうしてあなたは私を苦しめたかったの。

ちゃんと私、体を痛めてるわよ。

なんてあなたはかわいそうなのかしら。


私は知ってるの。

諦めた瞬間に赦されるって。

だから痛いままでいてあげる。


気が済んだかしら。

私はイナバの白兎みたいにズルしてないけど、

あなた分からないのね。


かわいそう。

私が兎じゃないわ。

あなたよ。


あなた、また心が痛むわよ。

それでもほら、神様がさすって下さる。

分かるといいけど。

本当なのよ。

私を汚した手をよく洗って寝なさいな。


私は平気。

きちんとあなたの嘆き、受け止めたわよ。

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