ちぃちゃんの小さな冒険
淡野こはく
第1話 ちぃちゃんの小さな冒険
ちぃちゃんは小さな女の子
ちぃちゃんは、お母さんと一緒に行く公園が大好き。
ブランコに乗せてもらって、お母さんに揺らしてもらう。
優しくゆっくり。
それでも、ちぃちゃんには冒険だ。
「わぁ、お空をとんでるー!」
ちぃちゃんは、お空を飛んでいる気持ちだった。
ずっと、ずっと、ブランコに揺れたい。
そう思っていたのに。
後ろに、順番待ちが出来てしまった。
ちぃちゃんと同じくらいの男の子。
お母さんと手を繋いで、順番待ち。
ちぃちゃんにお母さんが、
「お友達に変わりましょうね」
と言って、ブランコが終わりになった。
ちぃちゃんの小さな冒険は終わってしまった。
ちぃちゃんは男の子に
「どうぞ」とブランコをゆずった。
男の子は黙って、ブランコに乗った。
男の子のお母さんが「ありがとう、優しいのね」と言ってニコッとしてくれた。
ちぃちゃんもニコッとした。
ちぃちゃんはブランコにお別れのバイバイをして、次の遊具に向かう。
滑り台の前に来た時にちぃちゃんは、不思議なものを見つけた。
それはアリの行列だった。
ちぃちゃんはしゃがみ込んで、アリさんをみる。
お母さんもちぃちゃんの横にしゃがみ込む。
「これはアリさんよ。」
「アリさん?」
ちぃちゃんはお母さんの顔を見上げて尋ねた。
「アリさんは、巣穴にいる、赤ちゃんアリさんのために、ごはんを運んでいるのよ」
「アリさんがごはんを?」とちぃちゃんはびっくり。
よく見ると、小さな白いカケラを持って歩いている。
それはビスケットのカケラだった。
「アリさん、たくさんたべてね」
ちぃちゃんはアリに話しかけた。
お母さんが「さぁ、そろそろお家に帰って、お昼にしましょうね」と優しくちぃちゃんの背中に手を当てた。
ちぃちゃんはアリに別れを告げる。
「アリさんバイバイ」
ーーーその日の夜ーー
「ただいまー」とちぃちゃんのお父さんが、帰って来た。
お母さんが、「しー」と静かにしてね。ポーズをとる。ちぃちゃんは小さなお布団で寝ていた。
「ちぃちゃん、ただいま」とお父さんは小さな声でちぃちゃんにただいまを言った。
そして、ローテーブルを見ると、色とりどりのカラーブロックが整然と並べられていた。カラーブロックの上には、おはじきが乗っている。
お父さんが「これは?」とお母さんに聞くと
「アリさんよ。アリさんの行列。そのままにしておいてね。」とお母さんは微笑みながら、お父さんに言った。
「そっか、今日はアリさんに会えたんだね。今は夢の中でアリさんになってるのかな?」とお父さんも、クスっと笑う。
お母さんもふふっと笑う。
ちぃちゃんの寝顔も笑っているようでした。
明日はどんな小さな冒険が待ってるのかな?
おしまい。
※この作品は「ちぃちゃんの小さな世界」にまとめられました。
その他の作品も、そちらの方でお楽しみください。
https://kakuyomu.jp/works/16818622177127042584/episodes/16818622177127131400
ちぃちゃんの小さな冒険 淡野こはく @awanokohaku
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