気づけば『カーナビ』になっていた。彼女の『復讐』はどんな結末を迎える?

 まず設定がとても特殊で、序盤から目を奪われます。

 主人公は気が付くと「カーナビ」になっていた。
 その車に乗っていたのは、夫である大志と、その愛人である七音。

 大志が自分の目の前で七音と手を繋いでいたのを見て激昂し、その場で揉みあうことに。その反動で車にはねられ、彼女は命を落とすことになる。

 怨めしい。自分のことを咄嗟に助けてくれなかった大志も、自分から大志を奪った七音も憎たらしい。
 カーナビである特性を利用し、彼女は人気のない山道へ、そして崖へと向けて二人を誘導していこうとするが……

 結末がゾワリと来ます。彼女が復讐を果たせるか。それだけでは話が終わらず、「もっと先」の「何か」を見せつけてくれること。

 終わりの見えない悪夢。これから何年、何十年、「この状態」は続くのか。「自覚」することもできない恐怖の時間が進んでいくこと。それを想像し、背筋が寒くなること間違いありません。

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