ぐいぐい引き込まれ、続きが気になって仕方なくなる作品でした。
主人公の近藤は、一人で酒を飲む。そこで峰田という男から声をかけられる。
峰田という男は、どうやら「有名」な人間らしい。近藤は彼と語らい、これまでに彼が「渦中」として身を置いていた事件についての話を出す。
やがて、峰田に誘われて近藤は彼の家へと向かうことになるが……
情報の開示の仕方がとても巧みで、「近藤はどんな境遇にある男なのか」、「峰田が絡んだ事件とはどんなものなのか」と好奇心を刺激されていきます。
そして、峰田が近藤を家に招くことで、一体何が起こるのか。「峰田が起こした事件と近藤には関係がある?」、「近藤は峰田にとって何か恨みでも買うような対象なのか?」などと色々と憶測が生まれます。
でも、「一つ」だけはっきりしていることが。
それは、「何かしら怖いこと」がこの先に待っているであろう、こと。
直接的に示されることはなくても、この峰田と近藤が出会うことは、確実に「不穏なもの」に突き進んでいくことが予感されます。そんな不穏さの演出がとても巧みで、読者はこれから近藤の運命がどうなっていくのか「怖いもの見たさ」を刺激され続けていくことに。
「極限」にあるものを示されることで、最後に試される人間性。その試験に合格するか不合格するか。果たしてどちらが幸せなのか。
ラストで提示されるヴィジョンも強く心に響くもので、意外性と共に思わぬ満足感を読者に与えてくれました。