第5話 エピローグ

 中学を卒業して七年の月日が経った。


 同窓会のお知らせがあり、俺は即決で『行く』と答えた。


 なぜ今のタイミングで同窓会なのか不思議だったが、みんな就職なども落ち着いてくる時期を狙ったのだろうか。


 大学を出てから高校の教師になった。

 やはり、教師というものは大変な職業だとつくづく思った。


 同窓会は、中学校の教室で行うことになっていた。

 七年ぶりの母校に緊張しながらも足を踏み入れた。


 ゆっくりと思い出を噛み締めながら教室へと向かった。


 向かった教室は同窓会の会場ではない。


 あの初恋をした教室に足が進んでいた。


 教室につくと当時のままの雰囲気が残っていた。

 黒板を触ったりロッカーをじっくり見たあとその時の席に座った。


 昔のことを思い出していると……


 ――ガラガラ


 扉を引く音がした。

 その音に対して振り向くとそこには……


「あかね!?」


 当時の中学生の制服を着たあかねがいた。

 あかねは恥ずかしそうに言った。


「この制服どうかな?久しぶりに着たんだけど……」


 俺は、何も言わずあかねの前に立ち優しく抱きしめた。

 あの雨の日のように。


 あかねはニッコリと誘うような笑顔で言った。


「あの初恋の続きしよ……?あと、傘返してね?」


 俺は、大きく頷くのだった。

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今日、君が傘を忘れた 天使の羽衣 @tensinohagoromo

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