第4話 別れの会話

 数分間恋人つなぎをした。

 

 宮坂は真剣な顔つきで目を合わせていった。


「秋元くんに言わなきゃいけないことがあるんだ」


 僕は改まった表情をして気持ちを切り替えた。

 そんなことを言われても良い準備を。


 宮坂は少し間を開けて言った。


「私、明日転校するんだ」


 その言葉を聞いた瞬間僕は理解ができなかった。

 動揺していると宮坂は言った。


「このこと知ってるの私と友達くらいなんだ」


 宮坂は半笑いで言った。


「まぁ、別にクラスのみんなに言うことじゃないかなと思ってね」


 僕は宮坂の両肩を優しく掴んだ。

 そして、無意識に涙が出てきた。


「どうして……どうしてもっと早く言ってくれなかったんだよ…!

 」

「だって、秋元くんが好きだと思わなかったから……」


 宮坂は恥ずかしそうに言った。

 僕は涙を流しながら震えた声で言った。


「僕だって……」

 

 声が震える。胸が締めつけられる。

 

「あかねが僕のこと好きだと思わなかったもん!」


「ッ!!」


 あかねは言葉にならないような声を出して喜んでいた。

 

「もう一回言ってよ!」


「好きだと思わなかったところ?」


「違うよ!」


 あかねは、どこか怒っているような表情を見せて言った。

 僕は、発言を思い返した。


「あかね……」


 そう言うと、彼女は涙をこぼし始めた。

 僕は、あかねが雨に打たれないように優しく抱きついた。


 この温もりは人生で感じたことのないような温かみをしていた。



 これが人生で初めての恋にして初めてのハグだった。



 ー翌日ー


 彼女は言った通り学校には来なかった。

 本当に転校してしまったんだなと少しさみしく思う。


 隣の席を見ると彼女の姿を思い出す――



 僕の初恋はあっけなく終わった。

 

 だけど、あの日の雨の音も、彼女のぬくもりも、

 ずっと僕の心に残り続けている。

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