第13話 再会

 ライナスが時の秘石を使ったことで、この日本も異界の門が開く前まで時間が巻き戻っていた。


 いつもと同じように任務をこなすサクラの目の前に、見たことのないからくりの弓矢が現れる。


「なんだこれは? 私の記憶の中にある、クロスボウという武器に似ているのようだが――。誰かが忍術で私の元へ転送したのか?」

 

 突然武器が出てきたことを不審に思いながらも、その弓矢に触れるサクラ。次の瞬間、カイトとの旅の記憶が頭の中に蘇ってくる。


 魔導騎士たちに襲撃された街での出会い。蜘蛛女のアリアを倒し、カイトと共に協力して勝利することができたオーガの三姉妹や人造人間との戦い。最後に、時の秘石を完成させて、時間を巻き戻したこと。


「……ああそうだ。私、あなたと一緒にこの世界を救ったんだった」


 カイトの顔を思い出し、涙が溢れ出すサクラ。ライナスが転送したクナイを受け取ったカイトも、同じようにサクラのことを思い出しているだろう。


「ありがとうカイト。今、会いに行くからね」


 涙を拭ったサクラは、静かに印を結ぶ。


「忍法――舞揚羽の術!」


 サクラの背後で、蝶の羽の形をした虹色のチャクラがはためいている。空を舞う揚羽蝶のように、サクラの姿は上空へと舞い上がった。


 月明かりが、サクラの身体を優しく照らしている。


 そのまま彼女は、カイトのいる村へと向かって、ゆっくりと飛んでいった。

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くノ一サクラの救国記〜異世界から来た「魔法」を使う侵略者に里を襲撃されたくノ一忍者の復讐劇〜 安珠あんこ @ankouchan

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