キャラクターのリアルな葛藤と、心温まる兄妹の絆に心惹かれました
- ★★★ Excellent!!!
『元プロゲーマーですがVtuberになります』、夢中になって一気に読んでしまうほど、素晴らしい作品でした。主人公のリアルな心理描写と、彼を支えるキャラクターたちの魅力にすっかり引き込まれ、読後も温かい余韻に浸っています。
本作の大きな魅力の一つは、何と言っても主人公と妹の絶妙な関係性です。特に第7話のボイスパック制作の場面は、二人の魅力が凝縮されていました。兄の作った声に、妹が「悪役の表の顔みたいな気持ち悪さと胡散臭さ」と遠慮なくダメ出しをする場面は、思わず笑ってしまいます 。しかし、ただ辛辣なだけでなく、「兄さん素が良いんだからわざわざ声作ろうとしなくて良いって」と的確なアドバイスを送る優しさも持ち合わせている 。この信頼関係に裏打ちされたテンポの良い会話劇は、本作の大きな見どころです。
また、主人公の内面的な葛藤の描写にも深く引き込まれました。元プロゲーマーという過去の栄光を抱えながら、Vtuberとして「ファンに求められる役割」を演じることへの羞恥心や戸惑い 。その繊細な心の動きが丁寧に描かれているからこそ、読者は彼の挑戦を心から応援したくなります。物語の合間に挟まれる「NEOLIVE総合スレ」のパートも、主人公たちの活動が世界にどう受け止められているかを客観的に見せてくれる見事な構成で、物語にぐっと深みを与えています 。
一度は燃え尽きてしまった主人公が、新たな世界で再び輝きを見出していく、心温まる物語です。今後の展開が非常に楽しみで、多くの人に読んでほしい一作だと感じました。素晴らしい作品をありがとうございます。