元プロゲーマーですがVtuberになります

ペンギン

プロローグ

『決めたぁぁぁぁぁ!14-12!マップカウント3-2で勝利したのは!日本のPluto!』


 今でも思い出すあの熱気、興奮、歓喜。全世界で人気の5v5で戦う爆破ミッション系のFPS『variant』。その世界大会で俺は優勝した。

嬉しかった。俺の全てが認められた気がした。だって高校とか青春とか全部投げ捨てて本気でひたすらFPSをやりつづけていたから。優勝した瞬間はきっとこれが俺にとっての青春なんだと心の底から思えた。でも、俺はもう28。とっくのとうにプロの平均年齢を大きく引き上げる人間になっていた。プロになったのが18の頃。あの頃とはやってるゲームも、メンツも、何もかも変わってしまった。ゲームIQは寧ろ研ぎ澄まされていっている気はするが反応速度が明確に落ちている。昔との比較動画を見たときは流石に心に来るものがあった。優秀な後輩もいる。多分、潮時なんだろうな。それにまだ人生は長い。このままこれを続けていくよりも新しい何かを初めてみるほうが楽しいんじゃないだろうか。

と、思い立って引退を決意したのが今からちょうど半年前。そんなわけで俺は今・・・。


「アラサー無職のクソニートってわけ!」

「別にそんなに堂々と言えるような事でもないでしょ・・・。」

「いや、まぁそれはそうだけど現役時代にもらったお金がもう働かないで生きていけるぐらいにはあるし問題ないだろ。」

「そう言われたらそうかもだけど・・・。」


 俺は今、都会の高校に進学するために田舎を出てきた妹と二人暮らしをしている。

他のアラサーの社会人が必死に働いている中妹とやる超乱闘は楽しいなぁ!


「ぬあー負けた!」

「兄さんってホントにFPS以外のゲームに関しては平均ちょい上って感じだよね。」

「・・・別に俺はゲームが上手いって訳じゃないから。」

「世界大会MVPさんがなんか言ってる。」

「まぁ才能が無いって言ったら嘘になるだろうけど・・・他のプロよりは努力の面が強かったと思うぞ。自慢できたのは反応速度だけだしな。」

「・・・それこそ才能なんじゃ?どっちかっていったら戦術考える方が努力とか経験の問題だと思ったんだけど。」

「いんや?極論毎日ずっと画面とにらめっこしとけばなんとかなるもんよ。それに比べてそっちの方はちょっと勉強してた時期もあったしチームメンバーに投げた後もいろいろ考えたりしてみたけど上手い奴には読み勝てる気あんましなかったなぁ。」


 特に世界で唯一2連覇決めたイギリスのチームのあいつはホントにバケモン。うちのIGLがさじ投げてたからなぁ。


「もうプロとかするつもりないの?」

「なんのためにやめたと・・・。ってかなんでそんなの聞くんだ?」

「だって今兄さんすごい暇そうだから。」

「・・・否定は出来ないなぁ。」


 実際暇ではある。少し前までは毎日狂ったようにFPSやり続けてたのに今じゃ一日に3試合やればいい方。酷い日は何もしないまま動画サイト見てるだけで1日が終わる。


「退屈ではあるけど・・・だからって今熱中できるようなものも無いしなぁ。」

「配信とかすればいいじゃん。そしたらほら、モチベとかも出るんじゃない?」

「・・・重いんだよ。肩書きが。俺はもう・・・『talent』として生きたくない。」

「・・・そっか。」


 ・・・まぁ本音は事務所とファンから盛大に祝福されたうえにこんな『才能』とかいうイタい名前使って活動するのが嫌なだけっていうのもあるけど。俺の苦悩とか知りもしないで復帰しろって言われるのが嫌だ。実力もそうだけど、何にも縛られず、自由になりたいからやめたんだ。戻ってやるつもりはない。


「・・・あ。それならこういうのとかどう?」

「・・・Vtuber?」


妹が見せてきた画面には妹がよく見ているVtuberがちょうど配信している画面が。


「いや・・・無理だろ。」

「なんで?兄さんゲーム出来るし声いいしリアクション面白いからいけるって。」


最後のその一言さえ無ければ俺はお前をなでていたと思うぞ妹よ。


「俺アラサーの元プロとかいう地雷やぞ?こんなおっさん見たくないだろうし前世バレとか面倒くさいだろ。」

「・・・兄さん配信とかしたことないでしょ?声とかもばれないだろうし年齢なんて関係ないって。」


おっさんであることは否定してくれませんと・・・。


「うーん・・・。」

「・・・どうかな。」

「そんなに今の俺って退屈そうか?」

「うん・・・。せっかくやめたんだからなんでもいいから楽しめることを見つけて欲しいなって。」

「それもそうだな・・・。」


せっかく妹が考えてくれたんだ。やらないというのも申し訳ないってもんだ。


「よし、やってみっか!どうすりゃいいんだ?」

「・・・!ほんとに!えっとねえっとね・・・。」


 嬉しそうに白い髪が揺れる。これを見れただけでやろうとしてみたかいがあるってもんだ・・・。

でもまぁ喜んでもらってるとこ悪いけどまさか合格なんてするわけ無いじゃないですか・・・。こういうのって絶対倍率高いだろうし。まー記念受験みたいなもんって考えたら気は軽いか。















 おかしい。絶対におかしい。きっと夢を見ているんだ。きっとそうだ、そうに違いない。

俺がこのVtuber事務所『NEOLIVE』に採用されたなんてあり得るわけがないだろ!


____________________________________________


俺(主人公)

外見はそこら辺にいる一般日本人(黒髪黒眼)、シスコン

プロの頃は世界最速の反応速度と称されるほどのプレイヤーだった

が、FPS以外に関しては少し上手いぐらい




白髪(ロング)赤眼

主人公が中学校の頃捨てられていたところを両親に拾われた

最初は血筋の問題だと思っていたが実際はアルビノだったことが後から判明

なお先天性部分性白皮症で髪と目だけに症状が発生しているだけな上、それによる目の疾患などもまったく出ていない(というかそのせいで気づかなかった)ため実生活に害はあまりないが念のため外出するときは日傘をさしている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る