皆さまどうしているのか興味津々

涼風紫音

小説の書き方に正解は……あるのか?

というわけで面白そうな公開質問自主企画があったので考えてみます。


①あなたはプロッター(緻密設定派)? パンツァー(感覚執筆派?) それともおぱんつ履いてる(どちらでもない)か教えてもらって良いですか?


 この三択、いやぁ難しいな。

 どっちもあります(これはどちらでもない、なのか?)。

 例えば『ブロードウェイの魔女』の第1章はプロットはかなり組み換えを繰り返していて、現在公開しているのは実は第八稿だったりします(そして公開前にそこに手を加えていたりいなかったり)。プロットも設定もわりとガチガチに組んでいて、設定資料だけで本文と同等以上のボリュームがあるとかないとか。第2章は一度プロットは組んだものの、まあこれは破棄だなということで、第2章から割と勢いだけで書いています。

 一方で「Fallout Survival in the Far East」。これはもう完全に勢いと感覚で書いています。オープンワールドなんでもありなゲームFalloutシリーズの二次創作ではあるのですが、「ゲームプレイ時の手探り感を出したい」という意図もあり、勢いと感覚しか使ってないくらいです。ゲームの手探り感となんでもあり感を小説にしようとか、大概面倒くさいこと考えて始めたシリーズですが、まあいいんです。

 そしてこの二択だけなんだろうか?ということもふと思ったりもします。世の中キャラクターから物語を作ろう、キャラクターさえばっちりならあとは大丈夫だと言わんがばかりの創作論の本もまた山ほどあるのですが、これはパンツァー派に含まれるのでしょうか?難しい。

 さらにさらに「このシーンを絶対書きたい」というところから書く人もいるはずで、実は今考えている別作は(まだ未公開ですが)、このパターンです。そのシーンをどう活かすのかということだけを考えているわけですが、「このシーン恰好いいでしょ」みたいな感じです。プロットを組むことになるかもしれませんが、そうしないかもしれません。ただそのシーンが起承転結のどこかの重要なパーツになる書き方のはずなので、そこから「先」の書き方で分かれる感じなのでしょうか?

 あとは設定や世界観から想起されるものをつらつら書き連ねるパターンもありそうですが、これはパンツァー派かもしれませんね。プロットとしては多少破綻していようが世界観や設定の面白さが伝われば良いんだよ、みたいな。いや、この書き方はもうちょっとちゃんとやらないと物語自体が破綻しそうな気もしますが……


②あなたが書き始める前に準備すること(プロット作成等)教えてください。


 私はもう圧倒的に「ひたすら資料を集める」が最優先です。本、映像、画像、音楽あれやこれや。「後で何か書く時に役に立つはず」みたいなノリでとにかく資料になりそうなものは余裕のある限り「今は読まなくても」とにかく集めています。本は特に絶版になりやすいですし、古書市なんかも頻繁に通っています。

 そこから先は、①の通りで、割とケースバイケースです。がっちり組んでも途中で変えることはいくらでもあるのですが、長編は大枠のプロットはあった方が良いでしょうし(そうしないと、うっかり人気が出た時に謎の展開で物語の設定や根幹を変えてでも続投しようとかなりかねません。どこかのアニメの話じゃないですよ?)、短編であれば勢いで押し切れたりもしますし(時系列があまり進まない作品は特に)、こういうキャラクターが書きたいんだ、でキャラクター造形から入ることもあったりしますので、 ぶっちゃけ初期衝動によってだいぶ準備が変わりますね。無準備も含めて。

 Web小説界隈に足を踏み入れたのは最近なので、肌感としては感覚で押し切りつつ軌道修正していくといった書き方もこの媒体分野は向いているのかな?と最近感じたりもしています。


③創作活動のなかでの赤っ恥体験を教えてください。


 ものすごくがっつりプロットを組んで、キャラ造形もばっちり組んで、時系列が入れ子になる構造で視点人物も頻繁に入れ替わるような作品を書き始めたのですが、PCがお亡くなりになり二度と復旧できませんでした。書いている私すらもうどう組んで何を決めていたのか、完全にお手上げ。バックアップ大事ですね!


④あなたの渾身の作品を教えてください。②の質問でどう準備したかも教えてください。


 というわけで、目下連載中ですが「ブロードウェイの魔女」は第1章はがっつりプロットを組んで、キャラも設定山盛りで、背景資料はもちろん物語に関連しそうな年表を400年分くらい作ったりして書きました(といってももちろん作品で使っているのはそのごくごく一部なのですが)。

 資料整理して設定を決めてプロットを組んで、第1章を一度書き上げた段階で第5稿。そこからプロットの組み換えやシーンの入れ替え、削除や追加等々を繰り返して現在の第8稿です(ちなみに全稿最初から書き直していますし主人公たちの名前も4回変更しています……)。

 なかなか骨折りな感じの書き方をしていますが、それだけ愛着もある作品ということで、どうかご愛顧いただけますと幸いです。

https://kakuyomu.jp/works/16818093092024847300


⑤プロットに悩む子羊へ一言!

 最初から長編を目指している場合や登場人物が多い作品の場合、おそらく正攻法は大枠でも良いのでプロットを組んで、筆が乗って勢いがついたところは活かして、それを活かすためにプロットの一部を組み替えて、みたいな書き方が順当なのかもしれません。

 エンタメ娯楽大国アメリカではプロットを研究するだけで一大分野みたいなところもありますし、プロット無しで長編を書く人もほぼいないと思いますので、最初は勢いでもどこかでプロットは必要になるだろうなと考えると、完全に勢いだけで何万字も書き切るのは、それで素晴らしい作品ができたら完全に脱帽です。

 私もそうですが、最初は粗々で組んだプロットに自信もないものですが、書き進めて迷子になった時にプロットがあると道が開けたり戻れたりするので、とにかくざっと書いてみましょう。決して無駄にはなりません!(たぶん)

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