第17話 椿君の正体
私は、もう遠くに登ってしまった、
でも、なんで椿君は、こんなことが、できるんだろう。
「ねぇ。椿君は、本当に小学生?」
「……小学生だよ」
「ずっと、気になってたんだけど。ご両親は?」
椿君は
聞いちゃまずかったかな、っと私は
「俺は、人間じゃない……って、言ったら信じる?」
「信じるよ」
これだけのことがあったんだもん。信じるよ。
私は真っ直ぐに椿君を見つめた。
椿君も私をじっと見た。
しばらく待ってから、椿君はぽつり、ぽつりと語った。
「俺はね。ここじゃない
「
「
「
「俺は、
「
「父親がね。まぁ、いろいろと
えええ。
椿君の顔色は、普通の人と変わらないし、
私は椿君の頭を思わず見た。
「母が、こちらで
それって、お母さんは人間なのかな。
「母は俺を
「……そうなんだ」
どうしよう。なんて言っていいか、わからない。
「でも、椿君は、なんで小学生なのに、こんなところで、カフェをやってるの」
「
「
「
「ケンカ!」
椿君が、そんなことするなんて
「ああ。まぁ、母親が人間なのを、バカにされて、それで、グーでね」
パンチしたんだ。この椿君が。
「
どうも
うーん。
でも、こっちの椿君が、本当の椿君だよね。
「父親に
「ええええ。でも、子供ひとりでなんて、変だよ」
そりゃあ。AI兄さんもいるだろうけど、子供ひとりで、
それとも人間の私とは感覚が違うのかな。と思っていると、椿君は、痛そうな顔をする。
とっさに、私は椿君の頭をなでた。
「なにしてるの」
「なんとなく」
「ふふ。君は。ああ、落ちつくな」
「なななな。なにそれ」
そんな、お
それに、ドキドキしちゃう。
「俺はね。親に、どうでもいいと思われているんだ」
「そんなこと」
「あるよ。俺の母は
「
「あとから来た、
うーん。椿君は本当に、
たぶん、二番目の奥さんってことだよね。
「えっと。
「俺の場合、父親が同じで、母親が違う、半分だけ血が繋がってる兄弟だよ。俺には、兄と弟がいるんだ」
「お父さんは、椿君のこと心配しないの」
「なにも。ただ、ここを
あ、だから、あのとき、ちょっと
私の両親は来たのに、椿君の家族は来てくれなかったから。
私はしゅんっとした。
それに気づいてか、椿君は頭をさげた。
「
私は、ふるふると首を
私も、椿君の気持ちを考えずに、家族の
「はぁ、なんだか、
「そうだな。いろいろと、
「本当だよ。このお店が、
「なにか紅茶でも……と、俺の紅茶は
そうだった。なんで椿君が入れる紅茶は、味がないんだろう。
私が、じっと見つめて、
「俺が、
「う、うん」
それと紅茶の味がなくなるのって、関係あるのかな。
「俺の父親は
「
私が言うと、椿君はきょとんっとしたあと、目もとを
「はは。君にかかると、なんでも、お
「なんでよ。それより、
「父は、
「えっと。
「ぶは。
めずらしく椿君が、ちょっと
思うんだけど、椿君はこんな風に笑ったことはあまりないんじゃないかな。
きっと、
「父は
「えっと。味を、うばうこと?」
「そう。
「え。ああ。最初に会ったとき、そんなこと言ってたね。でも
「いや、
うーん。この様子。なんか、お父さんのこと、あまりよく思ってないみたい。
それに、これ以上、
「でも、なんで紅茶だけの味が、なくなるの」
椿君は、少し
これも聞いちゃいけなかったかな。
「紅茶は、俺にとって、
「とくべつ?」
「
「そうなんだ」
「母を知らない俺が、
「なに、その、いじわるな力」
「ふふ。確かに。大切な、特別な物の力を
私は、
だって、
私は、そのまま、椿君の両手をにぎって、ぎゅっと
「椿君は椿君だよ。ぜんんんぜん。怖くないもん」
「君は」
椿君は、なにか言いかけて、ふと、考える
そして、いたずらっぽく笑った。
「ふふ。そういえば、今日は、ご
ん? ごほうび。
私の耳がピクリと
そう言えば、仕事が終わったあとは、甘くて
私は目をキラキラさせて、椿君を見つめた。
くれるの、
ほっぺたが、
椿君は、クスクスと笑って、私の手から、手を
そして、その手は、なぜか私の
あれ、椿君の顔が、近づいてきてる?
むにゅ。
と
なに。今、なにしたの。
「ご
なにを!
私は、ピーッと、顔が一気に熱くなるのを、感じた。
「ななな。何したの、いま」
「ほっぺに、ちゅう」
「おきれいな顔で、そんな言葉つかわないでって、ええええ」
「ふふ。あはははは」
大笑いする椿君。
顔が熱いよ。
生まれて初めて、家族以外の人に、ちゅうされた。ほっぺだけど。
私は、ぽかぽかと椿君の
「ははははは。痛いよ」
うそだ。絶対に痛くない。
「ただの
「そんな、
「ごめんって、で、もう一回する」
「しない」
私は頭にきた。絶対に私で
「私、帰る」
椿君は、くっくっと笑いながら、私の頭をぐりぐりと、なでた。
このやろう。また
なんだか、どっと、
「さぁ、ご両親のもとに、帰りなさい」
椿君は、優しく私の
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