第16話 もうひとつのお店 4
私、
私は、ほっとする。
近くにいた兄さんが「お帰り」と言って、手を
ようやく、帰って来たんだ。
「
あれからずっと、
青い顔をしながら、
「
私の
いかん。私まで、また泣けてきちゃう。
さっきまで見てたのは、
「ありがとう」
顔をあげると
「こんなに
私は泣きたいのを、こらえた。
なんだろう、心が、ぶわっとする。
ここで
「なんで、お線香の匂いがカフェでするの」
私が首を
「
椿君は、ふっと
「なにあれ」
私は見る。
そこには山があって、一本道がある。
一本道に細い線香の
「
「そうだよ。あれは、お客様を思って、誰かが
とむらい?
私は
すると
ーーあなたーー
ーーお父さんーー
「ああ。あああ。
えっ。なんで線香の煙から声がするんだろう。ってこの声、
私は耳を、うたがう。
耳が
「きっと、
「
「そうだ」
椿君は私に
私の
線香から聞こえる声が、すごく
ーーもう一度、お父さんの声が聞きたいーー
ーーあなた、目を覚ましてーー
私、きっとちゃんとわかってなかった。
家族がいるのが、当たり前で、つい、わがままを言っちゃう。
ーーお父さん。私の名前を呼んでよーー
ーーあなた、いなくならないでーー
お母さんとお父さん。それに
それから、線香の
「うううう。私にはこんなにも、大切な人たちがいた。たくさんの
なんて答えていいのだろう。
私が立ちつくしていると、
椿君は、それを
「さぁ。お客様、あの線香が、行き先を
幽霊さんは、うなずくと、カフェの扉を開けた。
ーーお父さん、大好きだよーー
ーーあなた、いままで、ありがとうーー
「あの、線香の
私は
「あの山は、
「さ、さ、さ、さんずのかわ」
さすがに、もう
私、
つい、とんでもないことを考えてしまう。
でも、椿くんの言うことを、
「ここは
「なにそれ、ところで、手の中の物ってなに?」
「これか、あの
「お
「ここは、カフェだからな」
「あれ、さっき、
「さぁ」
椿君が、すっとぼけた声を出す。
なんだか
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