第14話 もうひとつのお店 2
──ぴちゃり。
お客様から、聞き
だって、
50歳ぐらいの男の人で、
顔は
その男が、ぼうっと立ってるんだから、
なにこの人? 本当にお客様。
それも、そのお客様は
変。
絶対に、普通の人じゃないよ。おまわりさんを呼ばないと。
私が身を引こうとすると、ピチャリ、ピチャリと音を立てて、お客が近づいて来た。
ぎゃああああ。こっち来た。
私は道具箱に目をやった。
「お客様、こちらに」
椿君は、いつも通り、お客様を席に
お客様は、寒いのかブルブルと
「
まかせる……。むり、むり、むり、むり、むり。私は首をブルドックのように
「あう、あう、あう」
アシカのような声しかでない。
「とにかく、温かい飲み物。わかるか」
「あちゃちゃかい(温かい)飲み物?」
私は
その
お客様がこっちを、うつろの目で見てくる。
うっ。うっ。うっ。
泣きたいよ。
なにこれ、私、
そんな気がしてならない。
死んでいるようにしか見えない、お客様に、私はどうしていいかわからなかった。
(もしかして、
私は
失礼だとは思いながらも、お
心の中で
と、バカげたことを考えながら、私は紅茶を選んでいると、兄さんが私の横に来た。
ほっとして、私は
「あの、お客さんって、死んでいるみたいだね」
「死んでるよ」
(ほら、生きてる……)
「今、なんて」
「あの、お客様は
ゆゆゆゆゆ、
そんな、
なんなの、じゃぁ、私は
ぎぎぎぎっと首をめぐらせると、椿君のお
「
「ふぁいいいいい」
返事すら、まともに出来なくなってしまう。
よけいなことは考えるな。今は紅茶を作らなくちゃ。
へっちゃら、へっちゃら、へっへっへっへ。
私は目を泳がせながら、体が温かくなる紅茶をざっと探した。
カカオ。ショウガ。
このへんなら、体がポカポカすると思うんだけど、でも、死んでる人に、それは
私は横目で、お客様を見た。
ガタガタと机が
うーん。ショウガ紅茶でいっか。
「……」
でもなぜか、
私は
なんでだろう。この紅茶な気がする。
私はうなずき、手に取った紅茶を、ちゃかちゃかと用意した。
「ハニーレモンです」
私は、どきどきしながらも
いい
だからやっと普通に声が出るようになった。
(なんで、泣くの)
ひた口飲んで、
「うっうっ」
私、紅茶を選ぶの間違えたかな。でも
私は怖いのが吹っ飛び、泣く
「
椿君の止める声が聞こえたけど、そのときは、すでに
「えっ」
私の
私、どうなるのおおおお。
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