第13話 もうひとつのお店 1
三時。
私は仕事を終えて、ほっと息を吐いた。
まったく、椿君が朝に変なことを言うから、仕事に
私は、お店の外の
すると庭の外からバラの香りがしてきた。
「いい匂い」
顔をあげると、アゲハ
私は、なんとなく
(人が、死んだらか)
私は椿君に言われたことを思い出していた。
そんなこと、
お父さんとお母さんと会えなくなるとか。
私は、ちりんっと音を立てて、ガーデンローズに入る。
さてと、あとは
そこで椿君が、うしろから声をかけた。
「
私はムッとした。
両親が心配? 絶対にしてないよ。私は
「私、帰らない」
「
椿君にちょっと、きつめに言われたけど、私は、ふーんだ。って顔をそむけた。
椿君は、大きな、ためいきを吐く。
「いい
「いやったら、いやなの」
椿君の目が、すっと冷めたみたいに細められて、私は、ちょっとびびった。
だって、そんな目で見られたことないもん。
「ここにいるなら、
おど、
「い・や」
私は椿君を、にらんだ。
「なら、このあとの仕事も、手伝ってもらおうか」
「へっ。もう
「まだ、終わっていない」
「やるやる。そしたら、ここにいてもいい?」
椿君は、考える
「いいだろう」
なんだ。それだけでいいなら、早く言ってよ。
私は少しご
最近は、お客様に紅茶を入れるのが、楽しくなってきたんだ。
みんなが
だから、まだまだ
お店の外に行って、
「さてと、じゃあ、行くか」
ん? 行くって、どこに。
椿君が、そんなことを言うもんだから、私は立ち止まって、目をパチパチとさせて、椿君を見つめた。
椿君は行くと言ったはずなのに、なぜか
コンコン
って壁を、急に
ついに、完全に、頭がパーになったか。
私は、たらたらと冷や汗をかいた。
うひゃあ。これ、病院に連れていかなきゃかも。
私が色々と考えていると
ぱかり。
と、椿君が
ここは、
隠し扉の大きさは、
なに、この
まって、まって、コレ
とにかく、私はその様子をじっと見つめた。
爆発とかしないよね。
私はなにが始まるのかと、ちょっとだけ、ドキドキした。
「
私はすっ転びそうなほど、おどろいた。
ぼぼぼぼぼぼ、ボタンが
なんか口みたいな穴があって、そこから声が聞こえてきた。
私は思わず、きょろきょろと部屋中を見回した。
うん。これきっと、
だまされないぞ。と思っていると。
ドン!
とつぜん、
その
「うぎゃ」と叫ぶと、がに
なに!
と、
(ぎゃああああ)
机がガタガタとして、天井に、ぶら下がるランタンがグラグラする。なんとか食器類は無事だけど、怖いんですけど!
と、信じられないことに、家が、ありえない方向に
はいいいいいいいいいい?
「待って、回ってる。回ってる。家が、
まるで遊園地の、コーヒーカップのように家が左回転しだし、私の目玉がグルグルと回わった。
うっぷ。気持ちが悪い。
「ふふ。あんまり見ていると、
にゃあああ。なんで椿君は
ここって、遊園地だったっけ?
今日も元気に
あまりのことに気が動転してしまった。
って、
それなのに、私の頭は真っ白になってしまった。
なんか口から、なにかが飛び出したみたいな。
これが、おどろき過ぎて、
と、ガックン。と、とうとつに回転が止まり、私の体は、
ずべーっと、床に
「うぎゃあ。あいたたたたた(痛い)」
私は
つぶれてないよね、私の
一体なんなんだと、私は顔をあげた。そして、あんぐりと口をひらいた。
窓を見ると外の風景が変わっていた。
私は目を両手で、こすった。
ついさっきまで、バラの庭があったはず。
それなのに、あるのは
森には一本の道があって、細い道が山へと向かっていた。
(なにこれ。ここどこ)
と、チリンと
「
そして、お客の顔を見ると、目玉が、ぎょっと飛び出しそうになった。
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