第12話 夢
その日の夜。私は夢を見た。
お母さんがソファーに座って、お父さんが
よく、
あ、これ
だってお母さんの、お腹がスイカみたいにパンパンだもん。
『あら、動いたわ』
『本当、私も触りたい』
夢のなかの私は、ソファーのうえで両手両足を、はうように、四つんばいにして、お母さんのお腹を
『あのね。私、弟が産まれたら、いっぱい遊んであげるんだ』
絵本を読んであげたり、ハーモニカを吹いてあげたり、ちょっと大きくなったら、
お母さんは、ふふっと笑って、
お父さんは、私を引きよせて、あぐらを
そして、ぎゅってしてきて、くすぐったかった。
『こうしていると、
『
私はお父さんの背中に、ずっしり、もたれて聞いた。
お母さんが、大きなお腹を、さすりながら私を見る。
『赤ちゃんはね、
お母さんは思い出したかのように、三日月の目で、言った。
『お母さんは
『むむ。
『ははは。だからな、お母さんは、
『ていおうせっかいって』
『お腹を、
私はぎょっとして、顔を真っ青にした。
『お腹を切ったの? お母さん痛い』
だって、
私は、自分のお腹を、おもわず、
『そうねぇ。切ったあとは、大変だったかも。でも、
『ふうーん。じゃぁ、弟が
『ふふ。お願いね。お姉ちゃん』
『へへへ。はやく、
私はわくわくして、
──なんで、こんな
心が、ぎゅうっと
そこで、はっと目を覚ました。
汗をびっしょりかいてて、手で、ぬぐう。
そっか、私、昨日は椿君の家に、お
お
「んんんん」
と両手をあげて
だって、昨日の椿君の、あの姿が頭から、離れないんだもん。
まだ、怒ってたらどうしよう。
私はリビングの入り口で、壁から、ひょっこりと顔を出した。
そこには、すでに椿君がいて、
私は思わず、ゴックン、と
兄さんが台所で、卵をカンカンと
私のお腹が、ぐるると
「おはよう」
さりげなく、
き、気まずい。
椿君はリモコンを手に持って
兄さんが、にこりと笑って食器を持って来た。
「食べて」
ヨダレがでそうになってしまう。
「いただきます」
私は
もくもくと食べていると、テレビのニュースが聞こえてくる。
『今日の朝方、車の中で男性の
うあ、朝からこんなニュースを、見せないでほしい。ご
私は顔を、ひん
向かい
「
「はっ?」
椿君はハムエッグの
私は
うーむ。
また変なこと言いだした。
これは聞くべきか、
「
「はぁ……」
私は遠い目をした。
思うんだけど、椿君ってやっぱり
これって、
うーん。とりあえず、今はご
私はハムエッグを
ああ、
椿君は
「
ニュースの話がいきなり、
そんなこと……わかってるよ。
私の気分は、どんよりだった。
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