モッカのしょうかん!

そらみん

プロローグ

「え、落ちこぼれのあたしが、優等生クラスの召喚士!?」


しかも、あたしだけにしか見えないなんか変なアドバイスする謎のナビゲーターつき? これって……小鳥ちゃんなの!?

「ふむ。君は明日より、学園のクラス転入試験を受けることになった。喜びたまえ。君の才能なら確実に合格だ」

「え、でも……」

「君は落ちこぼれだけど、努力できる才能がある。これはその証拠だ。」

あたしが持っているのは……数々の試験に落ちても、めげずに受け続けたたくさんの受験票や模擬問題の数々……

「……わかりました。あたし、がんばります!」

「うむ。試験当日は、この学園の制服で来なさい。ではな」

「あ、あの!」

「ん?なんだ。」

「あたし、小鳥遊ももかです。あなたの名前は?」

「……私は……そうだな、学園では、『学園長』と呼んでくれ」

「はい!学園長さん!」

「よかったね」

ピヨピヨと声が響く。

「小鳥ちゃん?」

『そう、私だよ。……私がいれば、今まで通りの試験でも十分だ。安心していいよ』

「てか君は何者?ていうか、生き物なの?」

『んー、自我はあるけれど、君をサポートさせるためだけの存在かな?君が召喚したんじゃないか』

「そうだった……」

しかし宙に浮かぶそれは、小鳥とはいえない姿をしていた。

ずんぐりむっくり。ふわふわの体毛を触ってみると……あ、あたたかい。なんだかお日様の匂いがする。

ピヨピヨと鳴く小鳥は、触られてちょっと鬱陶しそうだった。

「小鳥ちゃん」

あたしは、その小鳥をそう呼んだ。だって小鳥だから。

『なに?』

「名前、ないと呼びにくいから……名前つけてもいい?」

『え、名前?私に?』

「そう」

ピヨピヨ。

「ピヨピヨしてる小鳥だから……ピコちゃん!どう?」

『ピ、ピコちゃん……!?センスないなぁ』

「あれ、だめだった?」

『うーん。まあ別にいいけど……』

「じゃー決まり!よろしくね、ピコちゃん!」

ピヨピヨ。

それからのあたしは、編入試験の対策をした。

学園が認めてくれるくらい、できる限りのことはした。

「いよいよだね」

『うん……』

あたしは、学園の制服に袖を通した。

ピヨピヨ。

「あ、ピコちゃん」

『なに?ももか?』

「ありがとう」

ピヨピヨ。

「あたし、がんばるね!」

『うん、応援してるよ。ももかは私の大事なパートナーだから』

あたしは、学園に向かった。


編入試験は無事に合格し、晴れて優等生クラスに転入することが決まった。

『よかったね、ももか!』

「うん!これであたしも召喚士だ!」

ピコちゃんを頭に乗せて、学園内を歩く。

目的の教室は、もう見えている。

鳥組。ここが、あたしの居場所になるんだ!


あたしの大事な友達。クセのあるクラスメートたち。そして……あたしが召喚してしまった存在。


でもそんなこと知らない。あたしの学園生活は始まったばかりだ!

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モッカのしょうかん! そらみん @iamyuki_t

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