短編執筆の核心を突く実践指南。読むほど筆が進む傑作マニュアル!必読級!

 「【初心者向け】短編小説の書き方を初めから丁寧に説明します」は、ネット小説に挑戦したい――しかし何から手を付ければよいのかわからない――そんな書き手の背中を確実に押してくれる実用ガイドである。序盤では〈まず3,000文字を書けるようになろう〉という現実的な到達点を示し、長編までの道筋を数字で可視化することで、読者の不安を即座に安心へ変換してみせる点が絶妙だ。

 第一回の文法講座で示される「段落冒頭は全角一字下げ」「会話文末は句点を打たない」といった基本ルールは、見落としがちな初級者の躓きを徹底的に潰しており、まさに“文章の土台工事”。続く三幕構成の分解→イベント化という手順は、物語設計を“数式化”して見せる試みであり、感覚頼りになりがちなプロット作成に一本芯を通す。

 特筆すべきは、単なるノウハウ羅列に終わらず、各話で必ず「なぜその工程が必要なのか」を噛み砕いて説明していることだ。「情景描写と感情表現は読者を物語世界に没入させる装置」「主人公を不幸な地点に置くと物語が書きやすい理由」――こうしたメタ的視点が随所に挿入されるおかげで、読み手は技術と同時に“考え方”を吸収できる。結果、指南書でありがちな受動的暗記ではなく、能動的な文章思考が身に付く構造になっている。

 さらに最終話で提示されるライトノベル新人賞の評価シートは圧巻。作者自身の作品をセルフ採点するデモンストレーションにより、「評価基準を鏡にして作品を客観視する」作業の重要性が強烈に刻まれる。型を教えるだけでなく、反省法まで示す――まさに至れり尽くせりの“伴走者”だと言えよう。

 唯一の注文として、話が進むごとに文字量が膨らむため、要点サマリーを各章末に配置すれば、復習と検索性がさらに高まるはずだ。しかしこの点を差し引いても、本連載は“読むとすぐに書きたくなる”稀有な実践書である。完走後には、きっとあなたの指がキーボードを求めて疼き出すだろう。

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