歌集 掴まえて、掴まえたという事実さえ透明になる言葉という虫
余香
第1話
咲く花を知っているから私たち冷たいシーツの夜も愛せる
喜びも、恨みも恋も、融け消えてレースになるなら咲いてよかった
血管にお前の一部が流れてる
それってつまり、私が銀河
「連獅子をすれば早く乾くぜ」と。それはいいけど飛んでいくなよ
席は無く演目も知らず半券を握ったまんま生まれた僕ら
愛憎で膨れた身体もういっそ どこへも行ける遠くまで飛べ
攫うまま、春の向こうで生きていたい。そういう綺麗な獣でいたい。
お前だけ独り残して逝くけれど、わたしの灰で溺れて死んで
星空と交信してる街灯のモールス信号「さよなら、さよなら」
「はいチーズ! 笑って笑って!」 もう既に笑ってんだよ俺を愛せよ
街灯の下の野犬の遠吠えと同じ色して蓋が鳴る カン!
キッチンで私が踊れば春が来る
コツがいるのよ 鶯張りの
足元で人間の起く音がする
朝だねぇ、窓。日は見えないけど
看板でそりすべりしよう その後は
いい子にするから 黄泉比良坂
眼球が乾いていくのを泣いてると勘違いした 心が乾く
露払うあなたの道に幸あれと
道たがうほどの 強さがあれば
掴まえて、掴まえたという事実さえ透明になる言葉という虫
歌集 掴まえて、掴まえたという事実さえ透明になる言葉という虫 余香 @hanasann
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