人の死体は、普通は葬儀の後、火葬場で焼く。
ところが、この物語の主人公は、死体を死体袋に入れて、山中のとある場所に運ぶ。それが仕事だ。
報酬はかなり良い。彼らは煉瓦造りのその建造物の前に袋を置いて、ファスナーを開け、2時間後に空の袋を回収すること以外、何も詮索してはいけないと云い含められている。
ここまで読んだだけでもでも不穏な雰囲気だ。読者はこの不穏さに引き込まれる。
死体はどんな方法で処理されているのか。
何故その場所に死体を置くのか。
何故ファスナーを開けておかなければならないのか。
物語の後半、一気にその謎は解明されて行く。
果たして、真相は!
それを知った時、知ろうとした事を後悔するに違いない。
「怖いもの見たさ」、まさにその感覚を満たしてくれる作品でした。
主人公の哲也は、兄貴分である大東に言われ、「ある仕事」をこなすことになる。
もちろん非合法なもの。「死体袋」をある場所に運んでいき、しばらくしてから「中身」が空っぽになっているのを見届ける、というもの。
要するに、とある場所にいる「清掃業者」のもとへと遺体を持って行き、それが処理されるようにする。
その上で、禁止ルールが設定されています。「清掃業者の姿を見てはならない」と。
明らかにダークな世界観。「清掃業者」とは一体何者なのか。もしも、禁忌を破って姿を見てしまったらどうなるのか。
本作はじわじわと来るような恐怖感もさることながら、オチの意外性もある点が読者に贅沢な読書体験を与えてくれます。
「禁忌」を踏もうとする哲也たち。その先に待つのは果たして破滅一択となるのか。
ホラーでは定番となる「BAD ENDのフラグ」ですが、それを覆せるものがあるとすれば、一体どんなものとなるのか。
先が気になって気になって、一気に読み終えてしまいました。ホラー好きなら確実に楽しめる一作です。