生と死に挟まれて

子律

生きたい朝と死にたい夜

生きたい朝


深い藍色に淡い白が混ざってくる空


日が昇る前なのに


何だか眩しく感じてしまう


「あぁ、また今日も生きてる」


世で一番嫌いな自分におはようを投げる


へばりついた身体を無理矢理剥がして


「笑顔」と「謙虚」の仮面をつける


明るく作った自分で家を出る



死にたい夜


深い藍色に私の心の漆黒が溶けてしまう空


それと共に1日の疲労が全て身に返ってくる


部屋の明かりを全て消して自分の中に篭もる


「明日の朝日に出会いませんように」


世で一番邪魔な自分におやすみを投げる


濁りきった心を閉じ込めようと抗って


附着した仮面を引き剥がす


死んだような自分と夜に溺れる



いつになったら死んでくれるんだろう


いつになったら本物になれるんだろう


取り繕うことしか出来ない


ずっと自分を失ったまま世に出て


生きる事など疾うに飽きたし疲れてしまった


理由や目標など必要ない


それでもモチベーションのためにはあって欲しい


偽りの愛と希望を右手で握りしめて


人生の句読点を左手に携えて


常に生と死の板挟み


どう生きようか


そろそろ死んでみようか


そう考えながら今日も偽りの自分で人生をなぞる

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生と死に挟まれて 子律 @kor_itu-o

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