今日
ヤム
23時
昼の空がミルキーブルーの日、夜は無風で世界が止まる
虫の音も、葉音も聞こえない
世界の広さは昼と変わらないはずなのに
夜は広く、私の家路に立ちはだかる
今日って本当にあった?
私は今日を生きた?
生ぬるい空気が身体に纏う
地に足がついているかわからなくなる
素手には空気さえ感じられない
自分と空気の境目がわからなくなる
今なら、私も、私の知覚する環境の一部になれるような気がする
「我思う、故に我在り」
無を願い続ける限り、私は、在ってしまう
本当にそうか?
誰もいない帰り道
環境のベールに包まれた私を誰が知覚しよう
知覚されない私は安心して
止まっている世界に身を委ねる
つと、一匹のハクビシンが前を横切る
世界は動いていた
世界と共に、私も動きだす
今、自分と空気の間に境目はない
布地の糸と糸の間に境目はある
境目で解釈しよう
都合のいいように、生きやすいように
今日 ヤム @Y_am
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