飛香舎
蓮の君は丹と共に無事、飛香舎に到着されました。
「藤の花が咲いているわ」
「飛香舎は藤壺とも呼ばれていますからね」
丹が蓮の君に説明をしていた時でした。
「あー!姉上、此処に居らっしゃったのですね!?」
齢四、五歳の見知らぬ
「桔梗丸、静かになさい!」
男子を桔梗丸と呼び、静かにするよう注意をした丹。
「ご、ごめんなさい…」
「丹、この男子は…」
姫が丹に聞くと、丹は「はい」と返事をし、説明を始めました。
「この者は従弟の桔梗丸に御座います、姫様。六条の兄上…六条藤友様の息子となります」
「姉上、この御方は?」
丹を見上げ、蓮の君に指を指す桔梗丸に、丹は呆れたのか、深く溜息を吐きました。
「桔梗丸、この御方は私が仕えることになった蓮の君です。兄上の妻になる御方でもあるのですよ?」
「えっ!そうだったのですか!?」
「桔梗丸……」
「貴方、桔梗丸と言うのですか」
まだ幼き桔梗丸の目線に合わせるよう、蓮の君は屈みながら確認するように聞きました。
「はい!元服したら、父上の名から一文字、漢字を貰って名乗ります!」
「まあ、ふふ…元気ね」
誇らしげに胸を張る桔梗丸。
「ところで桔梗丸。お前、私に何か用があったのか?」
くるりと桔梗丸の方を丹は向き、そう言いました。
桔梗丸は「あ!!」と叫び、これまた大きな声で叫びました。
「姉上!一条の母上がお呼びです!!」
「母上が?」
蓮物語 中太賢歩 @YAMI_SAKURA
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