未来は僕らの手のひら?【掌編】
神無月ナナメ
第1話?
「……知らない天井だ? いやいやそれちゃうヤツやしメッチャ寝た気分やけど」
双眸を見開き覚醒した瞬間に深すぎる眠りから目覚めたような違和感があった。
それでも知らない天井じゃないしキシキシと異音を立てる慣れた木製のベッド。
白い半袖シャツと短パン姿で蹴落としたような掛け布団はフローリングに散乱中。
「子どもちゃうんやで」寝相の悪さに苦笑いするといつもの感じでスマホを探す。
まっすぐに手を伸ばし充電器に置いたスマートフォンを探しあて目元に寄せる。
不思議なことに揺らしたはずのディスプレイは暗転したまま表示する気配がない。
「えぇちょい待ってよ。正面に窓ないし……ここって自分のワンルームやなぁ?」
天井に照明ないし流し台と湯沸かし器なくなったしユニットバスどこ行ったん。
ゲーパソ用のデスクチェアにタンス本棚……家具どころか玄関ないしここ何処よ?
日常と隔離されたような空間は誰かに聴いた真っ白で閉鎖病棟ぽい雰囲気やし。
ふと更なる違和感に驚愕する……強度近視で眼鏡なしに見えないはずの距離だ。
「あれ……俺って誰やった?」一切の記憶がない絶望的すぎる状況なんやけども。
その瞬間……頭上からコンコン壁裏をノックするような異音が鳴って驚愕する。
「あのぉ……どなたかおられません?」くぐもった女の子らしい声が直後に響く。
「あっ。あぁ壁の裏になるんやけどこっちも起きたばっかしでなんもわからん?」
「声からして男の子だよねぇ……まぁいっか。独りっきりじゃないだけマシかも」
声音からイメージする儚げで可憐な純情タイプじゃなくてヤンキーっぽい感じ。
悪い意味じゃなく引っ込み思案な無口タイプより明るい性格ならしゃべりやすい。
しばらく壁越しの自己紹介みたいな会話を楽しんだ結果から似たような状況だ。
「なんかねぇ……急激にお腹へっちゃったんだけど。へへへっ」苦笑いする彼女。
「オレの方は空腹感まったくないんだけど……こっちの部屋なんにもないっぽい」
「そっかぁ残念むねん……だけどさぁ。食い物ならそっち側ちゃんとあるじゃん」
「はぁ? こっち側ってなんにもない部屋にベッドと布団……壊れたスマホだけ」
「だからさぁ……あんたよア・ン・タ」喰われちゃうのオレ? 空腹のギャルに?
「うまそうに感じないけど……ガマンできないしどうでもよくなっちゃったしぃ」
「ふぅんよくわかんないけどさぁ。ここって行き来できる出入口ってなくない?」
「へぃきへぃきぃ。こうしちゃえばいいんだよぉ」「えっっ?」訳がわからない。
ドスンと重音が鳴り思わず振り返ると壁に穴が開いて突きだされた二本の手首。
ほぼ同時に乳白色の髪が風もないのに迫りくる異様な雰囲気から目を逸らせない。
……あぁなんてこったい。思考をまとめる暇もなく意識を失ったオレどうなるの?
未来は僕らの手のひら?【掌編】 神無月ナナメ @ucchii107
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