ナゴヤ武将演舞隊のイメージが強かった平手さんですが、こういう硬派な歴史ものも書かれるのだなあ、と感銘を受けました。
物語は、美貌と才能に恵まれた何晏(かあん。何進の孫)が、儒学研究の名著『論語集解』を完成させ、学会と政界の中枢を占めるに至ったものの、華美な生活や五石散(麻薬)によって心身を蝕まれ、やがて友人らも失って、転落している様子が克明に描かれています。
とにかく文章力、描写力が素晴らしい。けっして華美な装飾があるわけではないのですが、美文だと思います。
何晏を粛清し、実利を追及して晋王朝を興した司馬氏の時代も、また長くは続かず、歴史は縷々変転していきます。
しかし、その中で、何晏の著した論語集解は、後の知識人に新たな思索の道を開いたのです。
盛者必衰、しかし、価値のあるものは変わらずに残っていくものです。
そんなことを考えさせられる良作でした。