今までの自分を反省して心を入れ替えるとか、人生をリセットするとか。少数ながら、現実社会の中で別人になることを迫られる人がいますし、自ら別人になろうとする人も少数います。
では、これは? 国民が16歳になると総取っ替えとなる、この国とは? その国に生まれた人間として生き長らえることの意味は?
サイコパスが立法したかと思うほど残酷な処置が進められ、生き延びる人間も同じくらい非情で、肉体の尊厳を踏みにじり切り刻むスプラッタな現実。
これなら死んだ方がいいのではないのか?
絶望的状況で、その問いに主人公は答えを探します。
探せるほど、剛毅なのです。
サイコパスが引き起こすスプラッタな景色に、一本の糸が感情の糸をつないでいます。か細く見えても、何故か途切れず、最初から最後まで繋げていきます。
これは、猟奇か、純愛か。
読む人は、えも言われぬものを見ます。