第3話 賢者の魔力は万能です
第3話 賢者の魔力は万能です
「ファイアボール」
ドロリと岩盤が溶ける、空気が無くなる事など気にせぬ炎の魔石の行使、現れるのはマントを纏った少女、杖を背負った彼女は彼女を見つけて表情を変えずに口をひらいた。
「また私何かやっちゃいました?ええけれどそうするべきだと思ったので、やはり貴女に空気は必要なかった」
「……、少し右に避けてもらえる?」
「分かりました。」
針が何もない空間を貫き、数十体分の魔獣の魔石と素材が零れ落ちる。
「同行させて貰っても?」
「ええ構いません」
しばらく二人は無言で歩く。
「じゃあここは私が、アイスキューブ」
坑道の影から出てきたガス状のモンスターを、賢者が氷の魔法で凍らせ核を砕く。
しばらく戦闘を続けていると賢者が口を開いた。
「拾わないのですか?」
「私はその日を生きる分があれば良いので」
「なら私が貰いますね」
会話はそれだけだった、普通ダンジョンに入るのは一攫千金を目指しての物のはずなのに、そこまでのお金は必要ないという少女に疑問をぶつけず、それでいてこのダンジョン探索は続くと確信している賢者、人外同士の会話の様にも、お互いを完全に理解した探索者パーティの様にも見える。
「じゃあはいお疲れさまでした」
「お疲れさまでした」
しばらく戦闘を繰り返した二人はあっさり解散した。
賢者が社用車にダンジョンの成果を積み込んでいると恰幅の良い中年が慌てて走ってくる。
「これはこれは賢者マーリン様、本日はどの様な用件でわが社のダンジョンに?」
「ちょっとスタンピードが起きそうだったから間引いてきた」
「……、お一人で?」
賢者は首を振って否定する。
「二人、とても強い人だった、これで五年は安全に運営出来る」
「えーっとどう言う事か話が見えず」
「私は貴方が何を聞きたいのか解らない、でも心配してくれてる見たいだしボスに説明をするのは必要と教わった、あなたが知った方が良い事を説明した、何が不満?」
「い、いいえ滅相もございません、ちなみに視察とか組合の査察とか……、違うと、ええ良ければお茶菓子……、いりませんか、はいどうぞおかえりください、おきお付けて」
恰幅の良い男は富を稼ぐためなら後ろ暗いこともする男だったが、ダンジョン経営者としてスタンピードの恐ろしさも知っていた。
「とりつくしまも無いとはあの娘の事を指すに違いない」
そういって男は考え込む。
「いかんいかん、不得意な事で思考を回そうとするからから回る。まず賢者様はダンジョン組合の人間で、ダンジョン組合はダンジョン運営の保険会社も運営している。スタンピードが起きれば保険料がかかるし、国のダンジョン経営者を増やすという政策にも株価にも影響が出る」
こういう部分で男の頭の回転は速い、……楽観的とも言う。
「なるほどそれで賢者様は非公式で来られたと」
男は来年の新年のご挨拶品を豪華にすることを決めた。
攻撃力1の針は外せない!?眠り姫の現代無双 テンユウ @03tu20
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