ラブレター
声兎
ラブレター
何回も書き直しては捨てて
複雑に絡まる想いを
丁寧にほどいていく
君に贈るよ
このラブレターを
私1人だけの帰りの電車
何かに押しつぶされそうになる
息が詰まりそうになって
息を吸って吐くたび
疲れたなと感じる
登り続けるエレベーター
何階で降りようか
降りたら楽になれるのにな
そんなこと考えてしまて
目が溺れ始める
玄関を開けて
鍵を閉める
痛みを伴うため息を吐いて
涙が止まらなくなって
しゃがみ込む
夜になると不安になるんだ
変わりたいと嘆く毎日
窓辺で脱力する自分
助けてと手を伸ばしたくなる
窓から見えるこの景色に
日に日に増える腕の線
笑いじわとまた違った線
今日も何本か増えた
本当はこんなことしたくなのに
もう痛みなんて感じなくなった
この大量のクスリを飲めば
なんて考えて
一粒一粒取り出して
急に我に返って
壁にぶつけて部屋中に転がるクスリ
声にならない声で泣き出す
それでも進む時間
死に向かって生きる人生
自分は何がしたいんだろう
私が私でいるためにどうしたらいいの
そもそも私ってなに?
自問自答する
でも答えが見つからない
吐き出したくなる
胸の真ん中にある
この重苦しい気持ち
一雫の光のような希望を求めて
歩もうと何かにすがる思いで
私は明日の自分に手紙を書こうと思った
1年、1日、1時間、1分、1秒後の明日の自分に
自分を愛せる自分でいるために
このラブレターを贈るよ
─完─
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