転生したんだから、金持ちになりたい‼

梟町

第1話 狂った

2025 現代日本

そこは世界でも有数の経済大国でありながら常に下を向いてグダグダ文句を言うだけの人が珍しくない国だ。これから出てくる一人の少年もそのような人の類である。


「クソが!何でいつも俺ばっか、なんであいつはいいのに俺はダメなんだよ、こんなの差別だ!」


この男が切れている理由は”授業中に内職をして怒られた”ただこれだけである。


「あぁ、転生して無双してぇなぁ」


この男は正直に言うとかなり恵まれた人生を送っている、中流階級の中でも上のほうの家庭に生まれ、家族に愛されながら、幼稚園のころからハイレベルな教育を受け、明らかに楽な人生を送っているのだが、やはり人間とは欲深いもので、衣食足りても礼節を知らないものも、なかにはいる。この男はそういうものだ。


そんな輩に天罰を下されるとでもいえばいいのだろうか。


じめっとした気持ち悪さが肌感覚でも分かる湿度にうんざりしながら、その男は歩いていた、そこにブーン、ブーンと何かが羽ばたく音が聞こえ、ちくりと頸動脈を刺す。


「あっ蚊かよ、めんどくせぇな、後で絶対かゆくなるじゃん、うわっもう赤くなってやがるよ」


この一見ただの蚊に見えるこの虫、実はハマダカラ属と呼ばれるものに属しているものである。ここで、虫好き、若しくは医者なんかは知っているんじゃなかろうか、そうこいつはアフリカからマラリアをもってきた。まるでこの少年を苦しませるためにわざわざやってきましたとでも言わんばかりの不運である。


しかも不運は終わらない、少年は熱を発症したが学校を休めることに喜び、この喜び長続きさせるためにわざと病院に行かなかった。


熱が出始めて、10日目マラリアというものにとってこの日は大きな転機ともいえるだろう、実はマラリアの致死率が100%になるといわれている。


つまりこれが何を示すのか、そうですね《死》です。


こうして彼はここから十日十晩苦しみ続け、死にました。


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場所は移り、厳かな雰囲気の漂う場所にえらく美しい女性が、必死にサングラスをかけ日焼けした厳ついおじいさんに土下座をしていた。


「それで君は、楽して生きてる人の苦しむさまが見たいなどという理由でわざわざマラリアを持つ蚊を連れてきて、感染させ、その挙句死なせたと」


女性はひどく焦った様子で、


「いや、あの、その、なんというか、マラリアって早めの処置をしたら、致死率0.240%じゃないですか、それでまさかただ休みたいとかいうふざけた理由で休むなんて思わないじゃないですか!」


ついに逆切れし始めた女性にたださえ怖い顔なのにさらに表情が厳しくなり、もはや般若のようだった。


「お前、我々神は確かにある程度ならやりたい放題できる、権力と力を持っているが、今回は相手が悪かったな、彼はどうやら予定通りの歴史を構成するために必要不可欠なパーツだったらしい」


「えぇ、あんなずっと恵まれた生まれの癖に周りをひがんでいるあのゴミが⁉」


「彼はまだ十代だぞ、その程度の思想どうとでも変わるに決まっているだろう、あのまま大人になるほうが珍しいだろう」


「お前も数百万年間の時間を経てやっと最近成人したばかりだろうに」


「それは、まぁ」


おじいさんは深くため息をついた後、こう告げた。


「その少年をすぐに転生させなさい、確かガレージギフトが新しく出した才能をさっき仕入れたはずだ。その少年に渡しなさい」


「大変申し訳ございません、わたくしのミスによりそのような出費を出してしまい、本当に申し訳ございません。」


「謝ってもどうにかなるものでもない、すぐに動け」


「はっ」


そうして、神のいたずらに遊ばれた少年は、新しい才能を持って転生するのである。


《《 Operate chart 》 made in Abundantia》という才能を持って


|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||こんにちは梟町です。

この話は気分転換で書いたのでミスが出やすいと思うので、報告があるとありがたいです。

別で投稿している『色はいろいろ、名前は一つ』のほうがメインです、ぜひ見てね!








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転生したんだから、金持ちになりたい‼ 梟町 @hukurounomati

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