運命☆イニシアチブ

@mskgmc

第1話 転校生はおよめさん!?

「は、はじめまして。立花こねこです。高校入学してすぐに転校することになり、今日からお世話になります。よろしくお願いします」

 わたしの短い自己紹介にまばらな拍手が巻き起こる。まだ5月――高校1年生のわたしや今日からクラスメイトになる人たちにとってはまだまだ高校生活に慣れない時期に、わたしは転校生としてこの女子高に転入した。

 もともとはお嬢様学校として有名だった星影せいえい学院だが、その色がまだ残っているのか、育ちのよさそうな女の子がお行儀よく座っている。すぐ緊張する引っ込み思案のわたしにはそんな風格はない。

「ねえねえ、こねこちゃんって呼んでいい?」

「ひゃい!?」

 自分の席に座って息を吐いた途端、肩を叩かれて悲鳴に似た声を上げてしまう。

「どうしました?」

 先生に向かってぶんぶんと手を振ると、声をかけてくれた女の子が小声でくすくす笑っていた。明るい色の髪をツインテールにまとめ、大きな目を楽しそうに細めている。

「私は上羽あげはゆらぎ。高校入ってすぐに転校なんて、大変だねえ~。何か理由があるの?」

「えっと……家庭の事情で、急に家族の海外赴任が決まって……わたしだけ、国内に残ることにしたから全寮制の星影学院に転校したんです」

 わたしを星影学院に転校させた人に「転校の理由を聞かれたらこう答えろ」と言われた通りに答えると、上羽さんは納得したように「うんうん」とうなずいてくれた。

(まあ……その「家族」、殺されちゃったのですが……)

 わたしの運命を変えた1か月前の出来事を思い出して、暗い気持ちになる。

 昼食の時間も、上羽さんと一緒になった。上羽さんはおしゃべりが好きらしく、表情をかわいらしくくるくる変えながらわたしがわかる話やわからない話を続けている。

「ところで、こねこちゃんは部活どうするの?うちの学校、結構部活頑張る系の学校だよ?」

 そう、それも問題だった。わたしが部活に入らないことは、この学院に転入する時点で決定している。

 緊張から、わたしは無自覚にペンポーチについた大好きな黒猫のキャラクターのキーホルダーを撫でていた。

「上羽さんは、何部なんですか?」

「バレー部だよ!中学でもバレー部だったから続けただけなんだけど、そうしたら超好きな先輩ができちゃってぇ……」

 上羽さんが頬に手を添えながらうっとりと話していると、食堂の入り口の方からきゃあと声が上がった。

「なっ、なになに!?」

「あー、生徒会長だよ」

 輪の中心にいる、他の生徒とは頭一つ分背が高い少女。毛先を切り揃えたポニーテール、涼やかな目元、人当たりのよさそうな笑顔。完璧で完全な偶像である彼女が、取り巻きの少女たちに微笑んでいた。

高部たかぶ先輩。テストの順位は常にトップ、満点以外取ったことがない天才。しかも運動神経も抜群で部活の助っ人にいつも呼ばれているのに生徒会の仕事もこなしているんだよねー。しかもすっごい美人だからモテモテなんだよ」

「ふーん……上羽さんは生徒会長のファンじゃないんですか?」

「私は部活の先輩にぞっこんラブ♡だからっ」

 どんだけ部活の先輩大好きなんだ、上羽さんは……。

(ていうか、顔、合わせたくない人第1位だよ、生徒会長……)

 わたしを星影学院に転校させた人とは、高部るるるその人だった。今見せている学院のカリスマの顔ではない、もう一つの顔を見ているわたしとしてはちょっと……いや、かなり怖かったり……。

「あ、こねこいるじゃ~ん」

 見つかりませんように、と顔を下げたタイミングで捕獲宣言。上羽さんは「こねこちゃん、生徒会長と知り合いなの!?」と驚いているけど、そうなんです。わたしもできれば知り合いたくなかったんですが、知り合いになっちゃったんです。

 大股なのに決して粗野に見えない、自信に満ちた歩みでるる先輩がわたしに近付くと、ちょこちょことるる先輩のファンも一緒に近付いてくる。本当にやめて欲しい。

「何この子、なんで会長に話しかけられているの?」

「見たことないツラ」

「1年生じゃん」

 ひそひそしないでぇ……。

「どう?星影学院、慣れた?」

「まだ入って半日ですよぅ……」

「あはは!そうだよね。段々慣れてくれればいいからね」

 平均身長より余裕で小さいわたしが座っていて、るる先輩が立っているから余計緊張する。わたしが緊張しているのをわかっているのかいないのか、るる先輩はわたしにぐっと顔を近付けた。わたしが薄い唇から目を逸らせずにいると、彼女は爆弾を放り込んだ。

「今日放課後、生徒会室ね。生徒会の一員として今日から働いてもらうから、よろしく」

(その話、なんで今ここで言うかにゃあ~!)

 「生徒会の一員」というワードを聞いたその場にいたファンは一瞬黙ったのち、わあわあと怒鳴り始めた。

「ちょっと、なんでこの子が!?」

「生徒会って何かの間違いよね?」

「るるるさん!どういうことですか!」

 一方場を沸かせたるる先輩は常備しているアルカイックスマイルのまま「またね~」と食堂を去っていく。

「ちょっと!るるるさーん!」

 ……すると、一緒にファンの皆さんも食堂を後にするわけで。助かったような、助かっていないような。

「こねこちゃん、生徒会に入るの……?」

「う、実はその……るる先輩に誘われていて」

 信じられないという目でわたしを見ている上羽さんに嘘は言えない。事実は事実だ。

 ただ、この学院において生徒会が特別な意味を持つことはわたしにもわかっている。るる先輩のファンたちが怒る意味も、当初に聞いていた内容を思えば理解できた。

 星影学院の生徒会は、生徒の自治を重んじる星影学院において重要な地位を占めている。時に校則すら変えられるほどの権力が認められているので、生徒会のメンバーはもちろん選び抜かれた秀才の集まりらしい。

 しかも、役員選挙なんてものはなく、当代の生徒会長の指名制。わたしもるる先輩に指名されて加入した……ことになるんだけど、他の生徒会のメンバーはるる先輩を入れて三人しかいない超・少数精鋭。「あの」るる先輩に選ばれるんだから誰もが認める秀才ってはずなのに、その新メンバーが転入生のわたしなのだ。そりゃ意味がわからないよね。

「す、すごい人だったんだね、こねこちゃん……」

 まだ状況が呑み込めていないという顔で、なんとか言葉を紡ぐ上羽さんに申し訳なくなってくる。そうだよね、わたしなんかが生徒会だと変だよね……。

 でもね、わたしじゃないと、ダメな理由があるのだ。わたしも怖いけど、まだまだ上羽さんに秘密にしなきゃいけないことがあるんだけど、いつか許してね。


 ・


 るる先輩に指定された生徒会ミーティングの時間までに余裕があったので、寮に戻ってひとやすみすることにした。星影学院は希望者は寮生活ができるんだけど、全員個室というのがとてもありがたい。

「おかえり、こねこちゃん」

 自室のドアを開けると、「同居人」がわたしのベッドに転がって漫画を読んでいた。

「ちょっ、ちょっとにゃーちゃん!」

 誰にも見られていないことを確認して急いで部屋のドアを閉めると、同居人の女性は小ばかにするように起き上がって肩をすくめて見せた。

 るる先輩と同系統の凛々しい美形だけど、高校生には見えない大人っぽい風貌。和服とルネサンス時代のドレスが入り混じったデザインの複雑な衣装を着こなしている彼女が、わたしの同居人だ。

 実は人間じゃないみたいで、いっぱい謎があるんだけど、普段は黒猫にゃーというわたしが大好きなファンシーグッズのキャラクターのぬいぐるみに化けている。

 1か月前、わたしの両親が殺された日に出会った、いわく「こねこちゃんを守るためにやってきた未来のだんなさま♡」だそうだけど……どこからどう見ても女の人だ。

「今日から生徒会の活動って聞いたけど、大丈夫かい?」

「う、それにゃーちゃんに言ってないのになんで知ってるの」

「そりゃ黒猫にゃーグッズと私は一心同体だからね。こねこちゃんが黒猫にゃーグッズを身に着けていれば、私もその場の状況が手に取るようにわかるのさ」

「聞きたくなかった……」

 ていうか、ずっと大好きでかわいがってきた黒猫にゃーが実はこの人だって知りたくなかったー!

 にゃーちゃん(彼女を便宜上そう呼んでいる)は厳密には黒猫にゃーではないけど、どうやらつながりが強い?とか、器にぴったり?とかで、にゃーちゃんが他の人にばれないようにするにはこのマスコットの姿が最適なのだとか。

「こねこちゃん、今日のブラジャーとパンツ、上下セットがばらばらだったよー。せっかくかわいいの着ているんだから合わせたまえよ」

「にゃ、にゃんで知ってるのっ、変態!馬鹿!」

「最愛のおよめさんのことならなんでも知っているがね。なはは」

 わたしとしてはずっと推してたキャラが自称だんなさまのムッツリセクハラ女だとは知りたくなかったけど!

「忘れないでくれよ。私はいつだって君を愛し、君を守る、君の〈運命〉だってこと」


 〈運命〉。

 わたしの家族を殺した正体不明の怪物。科学で説明できない人知を越えた能力を持ち、世界中に存在するとされている。〈運命〉同士に外見や生態、撃破条件などの共通点はほとんどないに等しいが、これだけは言える。

「〈運命〉とは、あなたを殺すもの」

 1か月前、唐突にわたしの両親を殺した〈第2運命〉コードネーム「エンペラー」。

それを前にして五体満足で生き延びられたのは〈第90運命〉コードネーム「アステール」……にゃーちゃんのおかげだった。その日届いた限定品のにゃーちゃんの大きなぬいぐるみが急に話しかけてきて、にゃーちゃんに言われるままにぬいぐるみにキスしたら、女の人に変身して、わたしを守ってくれたのだ。

 あなたを殺すものであるはずの〈運命〉のにゃーちゃんは例外らしく、それどころかわたしをおよめさんだと言い張っている。人としてもムッツリ変態なのに、〈運命〉としても変態らしい。

 その現場に駆け付けたのが、るる先輩。どうやら星影学院の生徒会は実質〈運命〉と戦う組織らしく、(不本意ながら)〈運命〉のおよめさんになっているわたしを戦力にするついでに監視したいらしいのだ。にゃーちゃんが変なことをしたらるる先輩が殺すとのこと。るる先輩はにゃーちゃんを前にすると、ただでさえ怖いのに一層怖くなる。

「そいつを他の人に見られたら、こねこ、退学にするからね」

 だなんて……自分で転校させておいてすごい理不尽。皆るる先輩に騙されていると思う。

「ところで、なんでわたしたちみたいな女子高生が〈運命〉と戦っているんですか?」

 生徒会室に向かう途中に合流したるる先輩に、ふと湧き出た疑問を投げる。にゃーちゃんは部屋でお留守番だけど、ポケットの中のスマホストラップは黒猫にゃーのキーホルダーなのでこの会話もどうせ聞いているだろう。

「それはね、15歳から18歳くらいの少女が一番〈運命〉に共鳴しやすいからだよ」

「えっ、それってまずいんじゃないですか?過去に現れた〈運命〉の中には思考に介入するタイプもいたんでしょう?」

「……自分の悪いところって、身内に指摘された方がメンタルに来るってこと、ない?」

「え?なんですか突然……言われてみれば、そうかも?」

 内心、るる先輩にもそういう感覚があるんだと感心していた。完璧超人としての印象が強いせいでこの人はどこか人間味を感じない。

「それと同じで、〈運命〉に一番効果がある攻撃って〈運命〉に近い人からの攻撃なんだよね。副会長なんかは〈運命〉を使役して戦っているよ」

「それって、にゃーちゃんみたいな……?」

 わたしと同じで〈運命〉におよめさん扱いされている被害者がいるならぜひ悩みを共有したい。

「『アステール』は例外だよ。使役というか、こねこが振り回されているだけじゃない」

「振り回され……!?」

 ――こねこちゃんが読んでいる漫画って恋愛漫画が多いな。どういうシチュエーションで私とイチャイチャしたいのか教えてくれ。

 ――おや?これが君の転入試験の結果かい?……な、なんだ?この点数は……ひどい数字だな!

 ――だんなさまに添い寝はしてくれないのか?冷たいな~。ぬいぐるみのときはあんなにかわいく抱き着いてくれるのにな~。

「……振り回されていますね」

「でしょ?副会長の〈運命〉の使役はどちらかというと、劇で使う人形を動かすような感じだよ。

 話を戻すけど、私たちは基本的に『毒を以て毒を制す』戦い方をしているの。〈運命〉に共鳴する――そして干渉できるのは、15歳から18歳の少女の、その一部だけ。それが私たち星影学院生徒会ってわけ」

 そこまで話し終えると、目的地である生徒会室に着いた。見た目は特に変わった雰囲気はないが、その扉は防音仕様ばっちりの重たい扉だった。

「やっとるっさん来たわ~。えらい待たされたで」

 先に生徒会室に来ていたとっつきやすい雰囲気の少女が、人数分のお茶を用意していた。

「あれ?その子が期待のルーキー?」

 身長の高いるる先輩に隠れていたわたしに気付いた少女が、珍しい生き物でも見るように顔を覗き込んでくる。にゃーちゃんやるる先輩ほどでもないけれど、平均身長より少し身長が高い。ショートボブの髪型も合わさってボーイッシュな雰囲気を漂わせている。

「こねこ、こいつは風早ちはや。2年生で会計をしてくれている。ちはや、立花こねこちゃんです。面倒見てあげてね」

「よ、よろしくお願いします」

 手際よく紹介されてしまったのでぺこりと頭を下げるが、ちはや先輩は手を顎に当てて何か考えている。

(やっぱりちはや先輩もわたしのこと生徒会に相応しくないって思っているのかな……?)

 昼間のるる先輩のファンたちの突き刺すような視線を思い出して、身体が縮こまる。なんて言われるのか待っていると、彼女は存外明るく言い放った。

「立花だから、たっちゃんやね!」

「た、たっちゃん?」

「せや!これからよろしゅうな、たっちゃん!」

(まぶしい……!)

 追い出されるかと思ったら、わたしのあだ名を考えていただけだったらしい。ちはや先輩って運動部のさっぱりした先輩って感じで、付き合いやすい人なのかもしれない。 

「ロロは?」

「ロっさんは不参加って言ってたで。いつものことや」

「いつものことだね」

 ロロとは、集合時間になっても来ない副会長のことだろうか。〈運命〉を使役していると聞いて興味があったから、会えなくて少し残念。

「それじゃ、生徒会活動を始めようか」

 るる先輩が手を叩いて着席を促す。生徒会とは仮の姿、本業は〈運命〉と戦う秘密組織。その組織の「生徒会活動」というのだから、今日からまたあの「エンペラー」みたいなバケモノと戦わされるのだろうか。にゃーちゃんが守ってくれるとは言っているけど緊張することには変わりない。さてさて、何をやらされるのやら。

「リマインドね。今月は生徒総会があります。ちはや、生徒全員に配るので今期の予算一覧を今週中に用意しておいてね」

「りょーかい」

 ……あれ?

「生徒からお菓子の自動販売機の設置の要望が届いていました。寮に置く分には問題ないので私の方で業者と掛け合っておく」

「お菓子以外にもパック飲料系の自販機増やしてほしいわ」

「あ、それいいね。本当は牛乳瓶がいいんだけどさ、予算厳しくてさ」

「るっさんいつもそれ言うてますやん」

 ……あれれ?

「こねこ、議事録にメモしておいて」

 るる先輩から渡された生徒会議事録に今の会話の内容を書き留めても、頭の中は「?」でいっぱいだ。

「それじゃあ10分後第1グラウンド集合で」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 慌てて立ち上がるわたしを、2人は怪訝な表情で見つめている。

「〈運命〉は!?戦いは!?わたし、そのために生徒会入ったんですよね!?」

 捲し立てるように質問すると、るる先輩は面倒くさそうに頭を掻いた。

「うん、まあ、そうだね」

「生徒会活動ってどこか出かけて〈運命〉倒すとかじゃないんですか?」

「漫画の読みすぎやろ」

 漫画みたいな生徒会ですよ、ここの生徒会は!?

「確かにこねこの言う通りだね」

「るる先輩……!」

「でもこねこ、倒すべき〈運命〉がいなければ、私たちってただの生徒会なんだよ」

「るる先輩……?」

 ……10分後、わたしたちは第1グラウンドに集まって草取りをやっていた。

「地味だよぉ……」

 わたしたちが草取りを頑張っている横を駆け抜けていくランニング中の運動部が恨めしい。

「うう……にゃーちゃんは草取りしなくていいな……」

(手伝ってあげたいのはやまやまだけど、高部に殺されるぞ)

 ついに脳内に直接話しかけてくるようになったぞこのムッツリ変態〈運命〉女。とはいえにゃーちゃんが実体化して公衆の面前に現れたら間違いなくるる先輩は「殺す」だろう。恐ろしい人だ。

「まあ、せいぜい頑張ってよ、生徒会の……ヒラ役員のこねこくん」

「わたし、書記とか庶務とか、そういう役職じゃないんですか!?」

「当たり前でしょ。そもそもうちは万年人手不足なんだから、役職に縛られない仕事ぶりを期待するよ~」

 草刈り機でグラウンドの端っこの生い茂った部分を一掃しながらあっけらかんと笑うるる先輩。

 わ、わたしの高校生活、いったいどうなるの……。


 ・


 教授がまさか〈運命〉にね。中身本物だよな、あの感じはさあ……。

 なぜ、高部るるるが一か月前、唐突に〈第90運命〉コードネーム「アステール」と、そのパートナーを受容したのか。それは彼女が「教授」と呼んだかつてのビジネスパートナーに起因する。

「私たちは、〈運命〉の主導権を握る」

 初めて出会ったとき、教授は言った。2歳年上の、るるるよりも才がなく、能もなく、力もない「どこにでもいるような少女」の言い分に、るるるは惹かれてここにいるのだ。

「だって高部、〈運命〉だけだろう?お前の思い通りにならない存在なんて」

 ああそうだ。だからここにいる。

「『あなたを殺すもの』を殺すことに、娯楽を感じても別にいいと私は思うぞ。どんな理由でも結果が伴うならそれでいい」

 もちろん。だからここにいる。

「結局、私は手段しか用意できない。〈運命〉殺しの武器や、〈運命〉探しの端末を作ってやること、くらいしか、ね」

 構わない。だからここにいる。

「最強のガクチカだと思わないか?正体不明のバケモノを崇める宗教集団とバトって世界平和を目指す。お前なんて生きているだけでガクチカの宝庫なんだからその中でも一番いいものを選んでくれ」

 選んだ。だからここにいる。

「すまない、高部。しくった」

「はは……予想はしていたけど、敵が大きすぎるよな……」

「だけど、私の……ゴホッ、うっ――この〈運命〉に、すら、イニシア、チ、ブを――」

 〈運命〉、それはあなたを殺すもの。

 私たちは、〈運命〉の主導権を握らなければ生きていけないのだ。


以下おまけの設定


今回の〈運命〉図鑑

 人語を解するもの、解さないもの、人型、そうじゃないもの、戦闘力を持つもの、持たないもの、さまざまではあるが、共通することはただ一つ。あなたを殺すものであるということだ。

 情報の整理のために「第○○」という形で数字が割り振られているが、これは〈運命〉の強さを表してはいない。


〈第2運命〉■■■

 コードネームは「エンペラー」。顔よりも大きな怒り狂った男の面を被る、中国風の高貴な衣装を身に纏う男性型の〈運命〉。自身は攻撃行動を取らずにただ立ち尽くす(回避行動は行う)。周囲を飛び交う京劇の面が攻撃や防御を行う。

 立花こねこの両親を殺害時、〈第90運命〉に反撃されるも間一髪で回避。その後逃亡中だが、現在反応は見られない。


〈第90運命〉■■ ■■■

 コードネームは「アステール」。見た目は20歳前後の少女。普段は立花こねこの黒猫にゃーグッズに成りすまして過ごしている。男性口調でクールで聡明な印象を受けるが、こねこのことになると異様にキモくなったり過保護になったりする。自称「こねこちゃんのだんなさま」だが、恋愛というものを理解しているのかは不明。

 隕石を落として攻撃するが、本人いわく「かなり頭使う大技」とのことで、甘いものをこねこにねだることもしばしば。大技なので一撃以外ありえないらしい。

 身長168センチ+高下駄。


今回のキャラクター図鑑

立花 こねこ

 15歳・身長148センチ。

 高校1年生。ファンシーグッズ「黒猫にゃー」シリーズのオタクで引っ込み思案の巻き込まれ体質。〈第90運命〉に振り回され邪険に扱うことも少なくないが、年上のお姉さんにデレデレされてかわいがられることにほんのり興奮しているムッツリだ。


高部 るるる

 18歳・身長172センチ。

 高校3年生。星影学院の一切合切を取り仕切る生徒会長で成績優秀・運動神経抜群、除草作業から現場仕事までなんでもござれの天才少女だが、あまりの超人ぶりに学院の王子様というより神様として扱われている。こねこに見せる横暴ぶりはこねこへの甘え……と見えなくもない。両親・妹とは絶縁中。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

運命☆イニシアチブ @mskgmc

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ