最高の読後感を求める方に
- ★★★ Excellent!!!
テレビNET開局五十周年を記念して二十四時間番組を企画することになったが、そのジャンルをどうするかという会議は紛糾していた。そんな中、音楽部門プロデューサー本田智章はある奇策を提示する。それは80年代から現代に至るまでの名曲の数々をライブで届けようというものだった。
更に本田にはとっておきの秘密兵器があった。それは90年代に彗星の如く現れ、たった3年という短い間に解散してしまった伝説のバンド「トリケラトプス」をステージに立たせるということだった。
その強いインパクトに押された上司の許可により、無事音楽部門が24時間番組を仕切ることになるが、ある問題があった。それは企画の目玉となるトリケラトプスの行方が一切分からないということだった。
本田は部下の初音陽子と共にライブの成立と成功を賭けて、行方不明のバンドメンバーを探し出すのだが、その過程で伝説のバンドの解散に隠された真実を知ることに。
本作は物語が進む過程で視点が移り変わり、キャラクターの心情が分かりやすく、まだ感情移入しやすいように作られています。
私は始め、上司の無茶ぶりに健気に答えようとする陽子に感情移入して読んでいたのですが、読み進めるにつれて森脇と前島に強く入れ込むようになり、最後の森脇と前島の時を超えた友情の奇跡には目頭が熱くなるほどでした。
精緻なストーリー構成や、キャラクターの設定、起承転結のしっかりした物語が読みたいという読者の方、また、笑いあり、涙あり、感動ありの最高の読後感のある作品を求めている方には特におススメです。