第13話 番外編 吉岡秋桜(3)

二台目のパトカーが先ほどのパトカーよりも大きな音で、爆発し、灰色の煙を上げた。

警察官は直前で逃げきったみたいだ。

「おいレッド別動隊、今だ。チラシを屋上からばら撒け。できるだけ遠く」

『はいよー』

そう言われて僕は内容をよく見ずにチラシをばら撒いた。


その紙には白い字で、

『生徒は激怒した。かの校則を変えなければならない。柿田橋中の校則は時代にはそぐわない。不適切にもほどがある内容だ…』と書かれていたらしい。(後で聞いた。)それからまた、元の場所に戻って、トランシーバーをいじり始めた。

そうすると、職員室陥落の報が入ってきて、そのもうすぐ後に、校長投降の報が入ってきた。

そうして、激動の5月1日は終わり、5月以降の1学期は、半分ぐらい休んだ。休んでいる間はタブレットの学習アプリなどで、一応自宅学習をしていた。


8月25日。

前の学校から、100kmほど離れた、町に引っ越した。見慣れないものばかりだった。


そうして、8月29日スカスカのリュックを抱えて、1学期間通ったみんなはやっと慣れだしたんだろうなと思いながら、見慣れない喫茶店の前を通って、見慣れない信号を渡って、養命橋中学校ようめいばしちゅうがっこうへと向かう。

残暑と言うにはまだまだ蝉も黙るような暑さと対極的な、冷房の効いた教室に入りたい、そう思いながら、一度職員室まで行き、先生に挨拶をして新しい教室まで着いていく。

チャイムと同時に、まず先生が教室に入り、

「みなさん、今日は転校生を紹介します、どうぞ」

と、扉を開けたタイミングで、深呼吸をひとつして僕は見慣れない教室に入っていく。

「初めまして。今日転校してきた 吉岡秋桜さちおかしゅうかです。前の学校では陸上部でした。好きな食べ物は、寿司です。これから卒業まではこの学校にいることになると思うので、みなさんよろしくお願いします。」



校長室動乱

番外編 吉岡秋桜編[完]

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校長室動乱 こーいちろー @number516

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