ガスライティング 一人と皆の物語

@tokikazuteru

一人と皆で…

「…お前が認められることなんて絶対にありえない!」


「阻止してやるっ…!何が何でも!」



その皆の言葉が…俺には


「助けてくれ」


と、確かに聞こえたんだ



タイトル

「ガスライティング 一人と皆の物語」


…昔は憧れていた、何者かになることを


けれど今は何者にもなれずに生きている


それを社会のせいにして、自分は悪くないって言って


…そうでなきゃ壊れそうだったんだ、何をすればいいかも分からなかったんだ


だから俺は皆のせいにした


俺のせいだとは一切思わず


…そうでなきゃ俺が惨めになるだけだったから


「この原稿…素晴らしいとは思います、けど…掲載することは…その…」


分かってたさ、最初から


こんなことが何度も続く!!!!!


実力があってもガスライティングの被害者ってだけでこうなる、作品で評価されるんじゃない 誰が書いたかで決まってしまう!


そりゃあ社会の…周りの人間のせいにもしたくなる気持ちは分かるだろう!


ガスライティングっていうとややこしいが、要は人に不幸をこっそりと願われるターゲットになることだ

俺はそんなくそったれな人間しかいない世の中を本気で恨んだね


ああそうだ…恨むだけだったらどれだけ楽だっただろうとも思うさ


俺だけじゃない、皆が生きている中で悩みがあるって本当は分かってる


本当に幸せだったら人の不幸など願いはしない…本当は分かってるんだ


俺にどんな形であれ助けを求めていると、ああそのぐらい分かってる!


けど…どうすればいいか俺に考えつくはずもない…


俺も皆も幸せであれる、そんな未来なんか来るのだろうか?


「何をうなだれている」


「…お前か…」はぁ


「今回もダメだったか!はは、そら残念なこった!」


「お前を小説の中でどうしてやろうか今考えている」


「恐ろしいことを言うな親友」


「お前と親友になった覚えはない」


「…お前が本当はなりたいものがあるのは知ってるよ けどな、誰だってそうなんだ」


「お前には才能がある、だから編集部からだって褒められてはいるんだろう」


「…っそんなことは分かっている!」


「…けど…結局結果を出さなきゃ意味がないじゃないか!」


「こんな物語…書いたところでなんの意味もなかった!」


「こんななんて言うな」


「二度と言うな」


「…俺だってお前の小説のよさは認めてる、けどな…お前だけがプロになるのが…本当は苦しくもある」


「お前は皆から不幸を願われているだけだって言ってるがな、俺は違うと思う」


「お前は愛されているし、期待もされてるんだよ」


「だからみんなお前やお前の作品を見捨てない」


「…そうじゃないか?」


「…気休めでしかない」


「お前が認められたいなら皆の為にも動けばいいだけの話だ、簡単だろう」


「その方法が分かれば苦労なんてしない!!!!!」


「…お前が人にしてもらって嬉しかったことを思い出せ」


「それが答えだろう」


…俺はプロにはひょっとしたら一生なれないかもしれない…


でも…


「先生はこの文章、好きだぞ?とても美しい」


「このストーリー、素晴らしいです 感情移入もしっかりさせられる」


「この原作、いいですよ!一緒に頑張りましょう!」


「あなたはどうやってこのストーリーを作ったんですか?是非教えてほしい!」


…そうだ…


俺のことを認めてくれた人達だって、確かにいたんだ…!


彼ら彼女らの為に…動いたって罰は当たらない!


カタッ


「お前も…私の小説を評価してくれていたよな」


「それがどうした」


「お前が…お前や色んな人が何をしてほしいと言っていたか思い出したんだ」


「色んな人に紹介をしてほしいと…言っていたんだよな 私は少し影響力はある…だから…」カチャッ(パソコンを開く音)


「おい…いきなり何を…」


「私が人を応援してみせればいいんだ!」


「はあ…」


「紹介系Vtuberというものになって、私は私のように埋もれた才能や既に表に出ている才能を紹介していく!」


「…はは、なんだよそれ…いきなりだけど…」


「悪くねえんじゃねえの」


-------------------紹介系Vtuberとして活動している主人公-------------------


「この文章はこの表現が優れていて…、この絵はこの表現が…、この歌は…、この配信は…、とにかく全て素晴らしいんだ 見てくれるとすごく嬉しい」


「おい再生数好調だぞ、よかったな」


「再生数の為にやったことではない 私も認められたいから…気持ちが分かるから そういった理由だ」


「これは皆の力のおかげだと思っている」


「…」


「俺の事…紹介してくれてありがとう…」


「お前も…認められるといいな」


「認められて欲しいよ」


「…はは、ありがとう」


「私もいつかそんな日が来ると…」


(着信音)


「…なんだ…?」


「これ…出版社からじゃん!出ろよ!」


「…!」


「あなたの活動、見ました…!あなたも認められてもいいんです、もう… そうすればよりあなたが紹介した人たちも色々な人に注目されるようになっていく!あなたは…」


「素晴らしいことをしたんですよ!」


「…っ!」


「あ…ありがと…ありがとう…ございますっ…!」


「これは…皆のおかげです…」


「私一人では成しえませんでした…っ!」


「ええ…あなたはきっとそう言うでしょうね」


「これはあなたの才能と、皆の力が合わさったからですよ」


「おめでとうございます」


「…電話、いい結果だったみたいだな」


「ああ…」


「お前の一言がなかったらあの着想はなかったよ」


「ありがとう」


「…」


「俺も…ありがとう」


「きっとみんながお前を求めてるよ」


「はは」


「そうだといいな!」




ここまで読んでくださりありがとうございました!

テーマは「どんなに自分がつらい状況でも、他者を助けることで自分自身も救われる」 このことを最も伝えたかったです

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