真夜中の公園で出会ったのは、名前も知らない優しい女だった

寒い夜だった。
ベンチの上、眠るふりをして空を見上げた。
誰にも見つからないはずの場所で、誰かに見つけられた。

「ねぇ、風邪ひくよ」

煙草の匂いとともに現れた、見知らぬ先輩。
冗談ばかりで本気なんてなさそうなのに、なぜか、俺のことを真剣に見つめてくる。

家に帰りたくない。
誰かと話すなんて、面倒だし意味がない。
でも、この人になら、少しだけ話してもいいかもしれない。

これは、ひとりきりの世界に、誰かが入り込んでくる瞬間の物語。

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